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「キーン或いは狂気と天才」稽古場通信

第1号  9月1日



 「キーン 或いは狂気と天才」は、新国立劇場の中劇 場で10月4日に初日を迎える作品です。江守徹主演、共演に峰さを理、渡辺梓を擁した豪華な 顔ぶれです。

 だが、しかし、けれど、タイトルだけではどんなお話か、おわかりいただきにくい、のでは?、 もしかしたらそうじゃないかな…、というわけで、いったいどんなお話なのか、そしてその二次 元の紙の上に書かれたものが、どんな風に立体化(まあ、芝居化)されるか、とかなんとかいう ものを、初日までのキーンの稽古場を覗きながら、お届けしましょう。
 企画が決まったのは、おおよそ1年半前。同時にキャスティングが始まり、同じころ台本の手 直しが始まり、演出プランが練られ、今年のはじめには美術の打ち合わせが始まりました。そう した、基本的な部分が決まって、ついに8月末から稽古が始まったのですが…。その様子は稽古 場の絵日記をご覧いただきましょう。

 ところで、この作品は、フランスのジャン・ポール・サルトルという哲学者が書きました。実 存主義とかなんとかいうものを提唱した人です。哲学者、である前に、小説・戯曲をたくさん書 いてたそうで、なんでも第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜になりながらも、収容所を脱走して、 パリで自作の芝居を上演し続けたそうです。同じころ、つまりドイツ軍の占領下で「天井桟敷の 人びと」という名作映画も作られてますが、フランス人のすごさはこんなところにある気がしま す。

 さて、内容と言えば、そんなサルトルの略歴と違って、まったく哲学的な話じゃありません。 何しろ原作は、アレキサンドル・デユマ。「三銃士」とか「モンテクリスト伯」(岩窟王)を書 いた作家です。冒険小説のはしりのような、作家の原作ですから、「キーン」も展開の早い面白 い話です。




 そして、これをもとに、サルトルが戯曲化したのです。つまり、誤解を恐れずに言うと、スト ーリーは、19世紀に実在したイギリスの名優エドマンド・キーンの破 天荒な恋の物語で喜劇です。キーン(今や題名の意味が分かりましたね)は、役者です から(?)、甘言を弄し、時には強引に時には優しく、女性をかき口説くのはお手の物、そんな プレイボーイぶりに傾倒する当時のプリンス、心の底からキーンを敬愛する伯爵夫人…。そうし た人間模様と手練手管を描きながら、面白く、悲しく、愉快に生きた時代が描かれてます。

 どの時代でも、その時代の課題がある、それに必死に取り組むことに、それぞれの時代の人間 のドラマがあります(たとえ色恋でも)。その時代ならではの、ひたむきさかもしれませんが、 だからこそ、その刹那、現代でも演ずる方にも、観る方にも感動を誘うのかもしれません。と言 うわけで、数日前から始まった稽古場は、笑いの渦あり、汗に混じった涙あり、なかなか面白く 進んでいます。

 「こりゃあ、もったいない」というわけでもありませんが、そんな稽古場風景を、レポートし ようというのが、このコーナーです。舞台を作る過程を楽しんでもらえて、それから本番を楽し んでもらえたら、これまた僕らの喜びです。

次回から、も少し中身に迫りましょう。

「キーン」稽古場通信員
桂屋桂丸

to be continued

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