演劇研修所ニュース
第15回 五館合同特別講義が行われました
12月3日、国立能楽堂にて、国立劇場、国立能楽堂、国立文楽劇場、国立劇場おきなわ、新国立劇場の五館の研修生のための特別講義が開講されました。
当講義は五館の国立劇場で研鑽を積んでいる研修生が一堂に会して、伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の相互交流を図りながら、各分野の養成・研修事業の特徴をいかすために、各界一流の芸術家を講師にお招きして行うもので、2008年より開催されています。
今年は新国立劇場からは、オペラ研修生5名、バレエ研修生17名、演劇研修生11名が参加いたしました。
第15回目となる今回は、能楽 大倉流小鼓方 十六世宗家で人間国宝の大倉源次郎(おおくら げんじろう)師を講師にお迎えし、特別講義をしていただきました。
「世阿弥の『稽古は強かれ、情識はなかれ』という言葉が残っています。感情と知識が邪魔をすると新しいものは入ってきません。自分にしかできない修行の仕方を自分の中に持ち、自分としっかり向き合い、周りとコミュニケーションを取りながら自分の道を切り開くことが大事です。
7世紀の『和を以て貴しとなす』の心によって、多様性を認め合う社会が形成されました。人はそれぞれ違っていいのです。普段個性を大切にしてもらっているから、協力する時は協力し合えるのです。
あなた方が研鑽を積んでおられる世界は、バーチャルではなく、生身の実技で人を喜ばせることができます。いまだ人類は戦争をしていますが、争いをおさめるには世界での純粋な文化の交流しかないのではないかと思います。こうした交流は皆さんにかかっており、あなた方がこれからの世界をつくるのです」
師のお話は、日本の伝統文化のみならず、日本史、古典・現代舞台芸術、日本語、現代の世界経済・教育制度など非常に多岐にわたった深淵な内容となりました。
最後に質疑応答も行われ、各研修生から活発に質問が発せられ、和やかな雰囲気の中、今年の特別講義が終了しました。
それぞれの研修生たちが、ジャンルを越えた舞台芸術の普遍性を学ぶ大変貴重な機会となりました。
また、五館の研修生の交流会も開催され、普段接点のない研修生間の楽しいひと時となりました。
▲集合写真(前列左・大倉源次郎師、右・日本芸術文化振興会 長谷川眞理子理事長)
特別講義前に国立能楽堂内を見学
大倉源次郎(おおくら げんじろう)
能楽 大倉流小鼓方 十六世宗家
[芸 歴]
昭和32年 大倉流十五世宗家大倉長十郎の次男として大阪に生まれる。
昭和39年 独鼓「鮎之段」にて初舞台。
昭和45年 「岩船」にて初能。
昭和48年 能「乱」を披く
昭和49年 能「石橋」を披く
昭和53年 能「道成寺」を披く
昭和54年 能「翁」を披く
昭和56年 甲南大学文学部卒業
昭和60年 能楽小鼓方大倉流十六世宗家を継承する。(同時に大鼓大倉流
宗家預かりとなる)
平成29年 重要無形文化財保持者(各個認定・人間国宝)に認定される。
古典のみならず、新作能、復曲能への参加も多数。
パリやニューヨーク、ミラノ、サンクトペテルブルクなど海外
25カ国で45公演以上に参加。
[受賞歴]
昭和61年度 大阪文化祭奨励賞
平成 3年度 大阪市咲くやこの花賞
平成 6年度 大阪文化祭賞(団体)
平成11年度 大阪舞台芸術賞奨励賞
平成27年度 観世寿夫記念法政大学能楽賞
[その他]
平成14年度~ 国立劇場養成所 能楽(三役)研修講師
令和 5年度~ 公益社団法人能楽協会副理事長
▼様々な研鑽の成果をぜひ劇場でご覧ください。
【次回新国立劇場公演のご案内】
新国立劇場オペラストゥディオ 2025春公演『フィガロの結婚』
◆公演日程:2025年2月22日(土)~24日(月・休)
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>チケット発売
・アトレ会員先行発売期間:2024年12月8日(日)10:00~12日(木)
・一般発売期間:2024年12月18日(水)10:00~
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