演劇研修所ニュース

第18期生公演『ロミオとジュリエット』稽古場だより

12月7日(土)より、いよいよ『ロミオとジュリエット』の開幕です。

出演する第18期生と修了者からの、公演にかける意気込みと見どころを日替わりでお届けいたします!


ロミオ 役:中村音心(なかむら・そうる)

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【意気込み】

私が演じるロミオは、親同士の血染めの喧嘩、暴力、戦争、優生思想、それらに雁字搦めにされる被害者であり、復讐の加害者でもあります。その中で差す恋の光は、影があるからこそ輝いてお客さんに届くと思っています。

 そして、俳優自身が生み出す人間的な魅力でもってロミオを演じたい。どう自分の心を動かして、相手を動かすのか。そしてその相手から何が返ってくるか。どうなるか分からない世界への歩みは恐ろしくもありますが、シェイクスピアの言葉が導いてくれると信じて積み重ねていきます。


【見どころ】

役者が口から出した言葉で世界を変えていく。

本来場面分けがないシェイクスピアの台本に忠実に立ち返り、極限まで削ぎ落とされた舞台セットの上で研修生が途切れずにシーンを繋いでいきます。プリミティブかつ、既存の『ロミオとジュリエット』のイメージを打ち破る、そんな上演です。



ティボルト 役:齋藤大雅(さいとう・たいが)

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【意気込み】

シェイクスピアの作品はどの時代でも何度も上演されており、どんな解釈も受け入れ、どんな表現でも取り入れることが出来るほど、強度が高いと思っています。『ロミオとジュリエット』も色んな『ロミオとジュリエット』があります。
今回岡本さんが手がけた上演台本、私たちにしてくれるディレクションから、今私たちがやる意義が大いにある作品だと強く感じます。同時に、役や自分の役割に対して、大きな壁、ハードルがあるとも感じています。
残りの稽古期間精一杯もがき、皆様のお目に触れることが出来れば、と思います。


【見どころ】

若者の愛の物語であり、古くからの恨み・憎しみの物語でもあります。そしてどんな見方も可能です。
なので見どころは全ての場面です! そして、その裏側で起きている出来事を想像していただけたら嬉しいです。
また、アクションの授業でお世話になりました渥美博さんの大迫力の立ち回りもあります。そちらもご注目ください!



乳母 役:山本毬愛(やまもと・まりあ)

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【意気込み】

はじめて舞台の世界に引き込まれ、心を奪われたのは、中学1年生の時に観たミュージカルの『ロミオとジュリエット』でした。

大学のミュージカルサークルにて上演したのもこの作品。

今回、こうして、この作品を上演できることに、運命の様なものを感じずにはいられません。

研修所に入り、しっかりとこの戯曲を読むと、400年前に書かれたシェイクスピアの言葉が、

この時代に生きる私たちに対しても、強く訴えかけをしているように思えました。

私たちの表現が、行動が、言葉が、お客さまの心に引っ掛かり、思いを巡らせていただけるような作品にしたいです。


【見どころ】

この作品には、戦争、家族、政治、ジェンダー、など、多くのテーマが盛り込まれています。

2時間弱、囲み舞台にて、全身全霊で小劇場に立ちます。全員、舞台から捌けることもしません。

私自身、得意としていたことを今回は封印し、とてもチャレンジングな役作りをしています。

是非観にいらしていただけたら幸いです。



モンタギュー/修道士ジョン 役:大西 遵(おおにし・じゅん)

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【意気込み】

今年6月に修了者数人でワークショップオーディションを行いました。

その時の岡本さんの一言が今でも頭の片隅に残っています。

「台本に書かれていることを表現しようとしない、その姿勢がムカつく。」と。

その時の僕は、表現しすぎないことに美徳を感じていました。

ですが、その考えは浅はかでした。

表現しすぎないのではなく、稽古場であらゆる表現を試すことで、より凝縮された表現になっていき、それが結果的に何もしなくても伝わることになるのではないかと。

そんな表現の極致を目指すべく、今現在は絶賛寄り道中です。

ぜひそんな僕の終着地点を見届けに来てください。


【見どころ】

ロミオの父親モンタギューと修道士ジョンを演じます。

お客さんが観た時、全く違う俳優が演じていると思っていただけるように、日々稽古に挑んでおります。

表現の幅が狭い僕にとって二役を演じられることは、とても嬉しいチャンスです。

最終的にこの二役がどのように仕上がるのか。

ぜひご期待ください。



マキューシオ/パリス伯爵 役:横田昂己(よこた・こうき)

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【意気込み】

どんな時代にも通用するさまざまな普遍的テーマを持つとされる『ロミオとジュリエット』。ロマンチックなイメージを抱かれる方も多いかもしれませんが、今回は悲惨で暗く重いテイストを目指しています。その重々しさの中にある希望も絶望も丁寧に際立たせることができたらと思います。

普段の生活とは比べものにならないほど強力な思いや心の動きで生きる登場人物の存在の大きさ。そして争いの絶えない街での一時の出会いや喜びの持つ輝かしさや尊さを我々の身体を通して表現できるように頑張ります。


【見どころ】

『ロミオとジュリエット』がシンプルに凝縮され、登場人物たちの人間像や立場、関係性の違いが色濃く表れます。状況が変わっていく中で各々が抱える葛藤や心の動きが見どころです。また、殺伐とした街で起こる両家の争いがエネルギッシュで迫力のある場面となっており、怖さも感じつつお楽しみいただけますと幸いです。



キャピュレット夫人 役:髙岡志帆(たかおか・しほ)

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【意気込み】

何年も前から世界中の人が演じてきた作品なので、色んなキャピュレット夫人がいたと思います。そんな中、自分にしかできない夫人を演じるため日々稽古しています。そのために自分が何ができるのか、人からどう見えるのか、さまざまなことを考え試行錯誤しています。 この作品の人物たちはどうしようもない運命に翻弄されるイメージがありました。しかし今回改めて戯曲を読んでみると、そこには生きた人間同士の争いが描かれていました。憎しみからくる争いや、それでも人を愛する気持ち。人間が何度も繰り返してきたことを通して、2024年に生きる我々が演じる意味を感じてもらいたいです。


【見どころ】

『ロミオとジュリエット』と聞くと、豪華絢爛な衣装や舞台装置を想像される方も多いかもしれません。しかし今回は舞台上に道具はなく、ドレスやスーツを着た人もいません。そのため俳優の身体や目線、息づかいなどの情報からお客さんが想像力を膨らますことができると思います。 3年間学んだ自分たちの身体と言葉を見ていただきたいです。




ロレンス神父 役:石井瞭一(いしい・りょういち)

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【意気込み】

 『ボーダーライン』という映画を見ました。メキシコの麻薬カルテルの幹部をアメリカに護送するため、特殊部隊が国境線を越える場面がありました。360度、どの方向から、どの瞬間、銃撃戦が始まるともしれない緊張感。 「borderline」とは、「国境線」を意味し、「境界線」を意味します。どの時代も、世界の中、人間社会の中に、境界線が引かれています。

『ロミオとジュリエット』では、2つの家系の間に人間の血で引かれた生々しい境界線があります。

私の演じるロレンス神父は、こちら側とあちら側を行ったり来たりしながら、なんとかその境界線を消そうと奔走する人物です。彼の選択の行方を、ぜひ最後まで見届けてください。


【見どころ】

四方向を囲む客席と一体となった舞台空間。本公演では、私たちは舞台裏に下がることなく、お客様と共にその場に存在し続けます。ロミオとジュリエットの運命は、周囲の人々の言葉や選択によって何度も翻弄され、覆されていきます。なぜ血染めの街ヴェローナの対立は終わらないのか。なぜ人物たちはその選択をしたのか。同じ時間、同じ場所で、私たちと共にこの物語を見つめ、問いかけていただければ幸いです。




モンタギュー夫人/薬屋 役:飯田梨夏子(いいだ・りかこ)

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【意気込み】

演劇に馴染みのない方でも誰もが一度は耳にしたことのある『ロミオとジュリエット』を尊敬する俳優である岡本健一さんの演出の元、立ち上げていくのは身が引き締まる思いです。

思わず目を覆いたくなるようなニュースが毎日のように飛び込んでくる昨今。

シェイクスピアの400年も前にかかれた言葉たちが2024年を生きる私たちに深く突き刺さります。『ロミオとジュリエット』の登場人物たちは日常にまで溶け込んだ「対立」の中を生きています。

発する言葉一つ一つに実感をたっぷり込め、想像を膨らませ、言葉に役の人生が宿るように心を込めて臨みます。


見どころ】

小さい頃興味本位で図書館で借りたシェイクスピア作品を読んでから、研修所に入るまでシェイクスピア作品に対して難解なイメージを持っていました。

今回上演する『ロミオとジュリエット』は初めて見る方でも取っ付きやすくなっていると思います。知っている方には、新しい手触りがする『ロミオとジュリエット』になるのではと思います。私自身も少しイメージが変わりました。

そして、今回の『ロミオとジュリエット』は囲み舞台です。様々な角度からドラマを楽しんでいただけると思います。



キャピュレット 役:中西良介(なかにし・りょうすけ)

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【意気込み】

「稽古は本番のように、本番は稽古のように」という言葉は俳優をしていると良く耳にするのですが、まさしく日々本番のような稽古期間を過ごしています。これだけ本番仕様の稽古をしたならば、本番は稽古のようにではなく、堂々と本番は本番であるという心づもりで初日を迎えたいものです。

今作が上演されるのは新国立劇場 小劇場ですが、終演後にご観劇くださった皆さまがその劇場空間から"世界のどこかにある景色"へと思いを寄せてくだされば幸いです。そんな時間を紡ぎ出せるように千秋楽まで一つも取りこぼさず駆け抜けます。


【見どころ】

好き嫌いの分かれる見どころかもしれませんが、各SNSにて#新国演研18期と検索していただけると稽古前と稽古終わりの俳優たちが何を考え、何を抱えながら稽古期間を過ごしているのかを垣間見てもらえるかと思います。ただ、まずはそこまでの興味を持ってもらえるように引力の強い作品に仕上げてまいります。




ベンヴォーリオ 役:篁 勇哉(たかむら・ゆうや)

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【意気込み】

岡本さんからは「対立」「戦争」など、単なる恋物語では片付けられない、重要なテーマを扱うことを強く求められています。私自身、肉体一つで作り上げる舞台がとても好きです。肉体と熱情で汗水垂らしながら、世界の、暗雲立ち込めるきな臭い情勢に立ち向かいたいと思います。

そして、私が演じるベンヴォーリオは、「普通の人」だと思っています。彼が生まれた環境に影響を受け、悲しみと憎しみに歯車が狂わされていく様を真摯に描きたいと思います。


【見どころ】

何よりも岡本健一さん、アクションの渥美博さんと共に作り上げた熱気溢れる殺陣と演出を見て頂きたいです。また、10期の先輩、岩男海史さんによる衣裳からもすてきな世界観が構築されています。

ベンヴォーリオとしては、序盤のクライマックスを飾る決闘のシーン。彼の葛藤と結末が見どころです。



大公エスカラス/召使 役:萬家江美(よろずや・えみ)

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【意気込み】
演劇研修所で何度も扱っているロミオとジュリエットを小劇場で上演できるありがたみを、ひしひしと感じております。世界では昔も今も様々な戦争が勃発していて、でもその中でも恋はあって、一方で争いによってまだ生きられた命が死んでいく。ドラマチックな悲劇フィクションではなく、現代でも存在するものだと思ってもらえるように精進します。人々は争いがないと平和に気づけないのでしょうか。争いがなければ平和という言葉は無かったのではないかと思います。平和という言葉がない、日常的な平和に気づける作品にしたいです。


【見どころ】

個性的なプロローグは音楽とも相まって、メッセージ性の強い、物語に引き込まれる演出になっています。一人一人の表情や言葉の強さ重さを感じてほしいです。

私は主に大公と召使の二役を演じます。その二人の存在感の違いを観ていただきたいです。その他にもヴェローナの市民として舞台に居続けます。劇場全体でこの物語の結末を見て感じて進めていきます。



ジュリエット 役:石川愛友(いしかわ・あゆ)

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【意気込み】
演劇研修所では入所してから初めて行うシーンスタディが『ロミオとジュリエット』のバルコニーの場面です。私たちも1年次の頃にそれぞれペアで考え発表しました。今回、再びこの作品に触れ1年次の頃のフレッシュな気持ちが蘇り、また新たな発見がたくさんあります。今回は、今の私が想像するジュリエットを表現したいと思っています。岡本さんがよく仰るのは「ドキュメンタリーをみたり、今起きている対立に目を向けなさい」ということです。今回の18期生公演を観た方が1人でも多く世の中で起きていることに改めて目を向けるきっかけとなれば幸いです。


【見どころ】
400年以上も前にシェイクスピアが紡いだ言葉。今でも説得力があるのは、終わることのない憎しみ合いが現代でも世界中にあるからだと思います。音楽、殺陣、声、身体。お客さんを巻き込んでいくような臨場感と緊張感で訴え、問いかけるような作品になっていると思います。今までに見たことの無い『ロミオとジュリエット』をお楽しみください。