演劇研修所ニュース

第18期生公演 朗読劇『風が吹くとき』稽古場だより

8月9日(金)より、いよいよ新作朗読劇『風が吹くとき』の上演が始まります。

この公演が新国立劇場小劇場デビューとなる第18期生から、この朗読劇にかける意気込みと見どころを日替わりでお届けいたします!


ヒルダ 役:萬家江美(よろずや・えみ)

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【意気込み】
新作の朗読劇ができると聞いた時、新たな挑戦へのワクワクとこれを朗読劇で伝えられるのかという不安がありました。そして、稽古を積み重ねながら朗読だからこそ伝わるものってなんだろうとずっと考えています。また、戦争を生き抜いてきたイギリス人夫婦ということで、これまでの約60年の人生を歩んでいる二人に私たちがどのように近づいていくか、日々試行錯誤しています。皆さまにこの公演をお届けするまで、最終的に舞台上で自由になるための積み重ねを続けていきたいです。そして、この公演が少しでも生きていく中での皆様の刺激、新たな血肉となって、心に残ってくれてたら幸いです。そうなるように精一杯朗読します!


【見どころ】
核爆弾投下後の夫婦の心身の過程です。核爆弾による心身の変化はじわじわと人間の体を蝕みます。この心身の変化を二人はどう捉えていくのか。そしてもし今の日本に生きる私たちの身に同じことが起きた場合、彼らの感覚と果たしてどう違うのか、はたまた違わないのか、私も模索中ですが、皆さまにも感じて考えていただきたいところです。




ヒルダ 役:山本毬愛(やまもと・まりあ)

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【意気込み】
いよいよ新国立劇場に立つ日が近づいてまいりました。まずは3年次の公演を目標に研修生活を過ごしていたので、初日が待ち遠しく、より見ごたえのある作品となるよう、1回1回の稽古で挑戦をしています。
原爆被害に関する直接的な描写がある作品というより、夫婦の日常に原爆がどう関わっていくのかということが伝わる作品かと思います。お客様の心に何かが引っかかり、想いを巡らせていただけるような作品になるよう、千秋楽まで進化し続けます。
暑い夏の日の、お忙しい中かと思いますが、ぜひ観にいらして頂けましたら幸いです。


【見どころ】
初めてこの絵本を読んだとき、仲の良い両親の姿が頭に浮かびました。この夫婦に起こる出来事は、核兵器がある限り、私たちの身にも起こりうることです。核ミサイルの発射ボタン一つで何もかもが壊されてしまいます。2人の夫婦の日常が核爆弾によってどう変わっていくのか、夫婦の会話を楽しみながらご覧頂ければと思います。



ヒルダ 役:髙岡志帆(たかおか・しほ)

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【意気込み】
朗読という言葉に重きを置いた作品で、新国立劇場のあの舞台に立てることを嬉しく思います。なぜならこの研修所で過ごす日々は、言葉について考える時間が多かったからです。相手の一言で視野が広くなり新しい挑戦のきっかけになることもあれば、自分の放つ言葉にはそれほど力が無いのだと気づく瞬間もありました。それは、同期の9人も感じたことかもしれません。私たち18期生は、人が集まることを避けていた時期に人が集まらないと成り立たない演劇を学ぶために集まりました。言葉を伝えて、人と関わる。関わり合う。俳優として、人間として、様々な言葉と出逢い直す舞台にしたいです。



【見どころ】
爆弾が投下されてからも日常を送ろうとする夫婦を会話だけで表現しているのが、この作品の見どころです。どんな状況でも人は会話をして関わり合って生きて、希望や安心を手に入れようとするのだと思います。夫婦の言葉の端々に見え隠れする恐怖や絶望を、取りこぼすことなく背負って演じたいです。



ヒルダ 役:石川愛友(いしかわ・あゆ)

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【意気込み】
演劇研修所に入って3年目、まずはやっと舞台に立てるということにワクワクしています。新作ということで演出の田中麻衣子さんや同期のみんなと案を出し合い、試しながら作っていくクリエイティブな時間は本当に楽しいです。役作りのために様々な場所に足を運んで吸収したことや、これまでに研修所で学んできたことを活かして繊細なキャラクターづくりに挑戦していきます!"伝承すること"の意味は何か。観に来て下さる方の胸に何を残せるのか考えながら、最後まで作品やキャラクター、表現について探求し続けていきたいです。



【見どころ】
隣家がない夫婦が二人でどのように支え合い、どのように生きようとしたのか、という所が見所だと思います。普段は当たり前すぎて気が付かない、近くにいる、ある存在の大切さ。夫婦の"日常"や"愛"を20代の我々が今できる全力を投じて演じる姿を是非ご覧ください。そして、身の回りにある当たり前の存在に目を向けていただきたいです。



ヒルダ 役:飯田梨夏子(いいだ・りかこ)

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【意気込み】
18期生としての初舞台は新作の朗読劇です。
作品には長年連れ添った老夫婦の日常が描かれています。しかし、その日常は一つの爆弾で理不尽に破壊されてしまいます。
戦争で失われるのは人々の生活です。
この作品の世界は、私たちの生きる現実世界に少しずつ忍び寄ってるのではと思います。
この朗読劇を臨むにあたり、様々なことを調べ、学び、感じた私たちの心と身体と声を使い、朗読劇を通して、お客様に少しでも「平和の尊さ」について想像していただけるものや、お渡しできるものがあると信じて、心を込めて取り組んで参ります。



【見どころ】
この作品は老夫婦の会話によって話が進行します。長年連れ添った夫婦の生活感をどうしたら感じてもらえるのか、どうしたら密な会話になるのか、どうしたら言葉を届けられるのかを18期生一同日々試行錯誤しています。

この生活感を色濃く出すことによって、戦争の理不尽さやジムとヒルダの身に降りかかった出来事をより想像してもらえるよう一生懸命取り組んで参ります。劇場でお待ちしております。


ジム 役:横田昂己(よこた・こうき)

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【意気込み】
この作品を20代の私たちが上演することは、「1980年代に生きる60代後半のイギリス人夫婦を演じる」という、非常に大きな挑戦となっています。また、夫婦の距離や生活といった日常の空気管を大切にしつつ、朗読劇という形で言葉を交わしていくという難しさも強く感じています。日々の稽古で楽しく、時に悩み苦しみながら自分達の在り方を模索しています。2人の会話だけで物語の進行と経過する時間、状況の変化を伝えていくことはシンプルさゆえの奥深い挑戦です。



【見どころ】
ほぼ2人しか登場しない物語。戦争と核爆弾によって翻弄される人と、生活の変化が大きな見どころです。研修生10名は場面ごとに入れ替わりながらこの2人を演じていきます。物語の進行とともに変わりゆく状況を、バトンリレーのように受け渡しながら上演します。そのリレーのなかで現れる研修生の個性、特色にも注目です。



ジム 役:中村音心(なかむら・そうる)

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【意気込み】
これまでの2年間の研修で得たパントマイムやアクションや声、マイズナーや戯曲読解、特別授業、シーンスタディで各演出家さんから学んだワークなどの多種多様な学びを、文字通り総動員して作品を立ち上げてきました。毎日「あれは使えないか」「これを使うとどうだろうか?」と試行錯誤し、あらゆる可能性を探り続けています。
本番を迎えるその日まできっと、たった一つの正解は見つからない。そもそも正解は存在しないのかもしれませんが、毎日変化させることを恐れずに、本番のその日その瞬間の正解となりうる真実を追い求めていきます。



【見どころ】
私の中でこの作品は、悲しみや凄惨さを想起させるだけのものではなく、認識しているのにも関わらず気付けない恐怖が、今我々の目の前にあるという事を伝えてくるものです。
だからこそまずは、愛し合ったり、言い合ったりする、夫婦の日常的なやり取り。そういったものを見ていただきたいと思っています。



ジム 役:篁 勇哉(たかむら・ゆうや)

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【意気込み】
戦争をテーマにした作品を上演することの意義を強く感じています。広島への4日間の研修旅行の体験や原爆関連の資料に触れ、イギリスの戦争と歴史についても徹底的に調べてきました。そこで感じたことは「平和の尊さ」と「生きている奇跡」です。
広島で得た経験は、私たちに「戦争体験の実感」を与えてくれました。世界では今も戦争が続いており、それに限らずさまざまな問題が山積みです。
私たちが少しでも声を上げていくことで、何かが変わるのではないか。最近はそう思うようになりました。演劇という芸術を通じて、少しでも平和の礎を築ければ幸いです。


【見どころ】
『新作』の朗読劇。多くの挑戦に満ちた作品です。
登場人物は二人なのに、俳優は十人。どのように共通する役を作り上げるか。
絵本を朗読劇にする時、リアルに物語を立ち上げるために、どのように伝えるのか。
そもそも誰も作ったことのない舞台を、研修生の我々がどう創作するのか。その挑戦そのものが見どころだと言えます。



ジム 役:齋藤大雅(さいとう・たいが)

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【意気込み】
『風が吹くとき』は18期生最初の公演であり、夏の朗読劇の新作であり、様々なハードルがある、とても難しい作品です。
このハードルを、2年間の研修で得たことや同期と協力することで乗り越えようと、日々奮闘しております。
私たちが演じる夫婦の姿を通して、作品の内包する警報を皆さんにお届けし、また、親近感を感じていただけるよう、努めてまいります!
想像力は人間の武器だと思います。来て下さる方にも一緒に、同時進行で想像して頂ける作品にします。劇場でお待ちしております!



【見どころ】
現代でも起こる可能性のあるお話です。本当にいそうな穏やかな日々を送る老夫婦が、核の危機にどう備え、どう対処していくかという所に注目してください!
また、年齢、人種、時代など、私たち自身からとても遠い役をどう演じているかというのも楽しんでいただけたら幸いです!



ジム 役:石井瞭一(いしい・りょういち)

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【意気込み】
地球上には一万発以上の核兵器があります。
日本に落とされた核爆弾の1000倍もの威力を持つ核爆弾が「戦争を防ぐため」と言って、世界中の発射場にセットされています。
ボタンひとつで、私の知る人が誰も居なくなり、私の知るものが何もなくなる可能性がある現実を、私は生きています。
絵本に描かれた夫婦は、とても幸せな老後を過ごしており、その生活はいつまでも続く筈でした。
『風が吹くとき』を観に来てくださる皆様に、「あ、こんな人いるよな」「知り合いの誰かに似ているな」と感じていただけたら、また、その2人の生活に入り込む人為的な得体の知れないものを感じていただけたら嬉しく思います。


【見どころ】
私たち10人で挑む朗読劇ですが、登場人物は2人の老夫婦です。
この劇に関する土地について、時代について、2人を取り巻く環境について、文化について、あらゆることを調べ、様々なところに行き、この劇と向き合ってきました。
絵本に描かれた2人の老夫婦を私たち18期生がそれぞれどのように演じるのか、ぜひ注目していただきたいです。

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