演劇研修所ニュース
第17期生公演『君は即ち春を吸ひこんだのだ』稽古スタート!
この秋に上演する『君は即ち春を吸ひこんだのだ』 (2023年11月7日(火)~ 12日(日))の稽古が始まりました!
2016年初演のこの作品は、新美南吉の晩年、24歳から29歳までの6度の春に焦点を当て、南吉と彼を取り巻く人々の人間模様を描きます。
稽古前の顔合わせには、第17期生7名に加え、演出を務める田中麻衣子氏、作者の原田ゆう氏、宮田慶子氏(演劇研修所長)、国広和毅氏(音楽)、工藤尚輝氏(音響)、瀬崎将孝氏(舞台監督)、米山千陽氏(演出助手・第16期修了)にご出席頂きました。
17期生公演の演目を模索していた際に、宮田さんよりこの作品を教えていただきました。 本当に面白い本でしたし、17期生の人数と登場人物の人数が同じということもあり、これは今やるべきなのではないかと感じ、今日を迎えています。
沢山資料を読んだり、読んで学習するだけでなく、感性や感受性を最大限に使って、いまできる最大限の事を一緒にやりたいと思っています。今日の稽古がどう変わるか、明日の稽古がどう変わるかで本番が変わってきますので、毎日頑張っていきましょう。
新美南吉との出会いは、小学校1年生のころ、高学年の人たちが図書室で上演した『ごんぎつね』を見たことがきっかけです。その公演は今でも鮮明に記憶に残っており、僕が表現を志すきっかけになりました。物語を通して初めて虚しさみたいなものを感じたことを覚えています。
大人になり、たまたま本屋で新美南吉の童話集を見つけたとき、老人だと思っていた新美南吉は、若くして亡くなっていたということを知って興味を惹かれ、彼のことを調べ始めました。
『君は即ち春を吸ひこんだのだ』のタイトルは、彼が書いた詩からとっています。音の綺麗さ、若くして亡くなった虚しさ、母への思いなどを感じ取りそれを戯曲にし、自分でも好きな作品です。運よく賞も取れて上演していただき、すごくいい形になりました。
またこうして上演していただけることに本当に感謝しています。これが俳優の皆さんの輝ける未来の一助になればいいなと思います。
演劇研修所の公演で現代演劇を上演するのは久しぶりです。
この作品を初めて読んだ時、柔らかな世界がきちんと描かれていて、一気に惚れこみました。
言葉の裏の世界が豊かで、自然な日常会話でありながら、それぞれの人物の人間性や置かれた状況が台詞にしっかりと表れていてなんて素敵なんだろうと。
昨今、日本語はとても合理的、事務的になり、連絡内容が通じればいいという風潮がありますが、演劇の世界では、言葉にならないことをどうやって表現できるか、いかに言葉が豊かなところから生まれてくるのかを常に考えていると思います。
書かれている時代は少し遡りますが同じ日本人の話ですし、人間の中身を大事に考え、想像力を豊かに、自由に演じてください。
現代演劇に出会うときにはとっておきの作品に出合ってほしいといつも思っています。
今この作品ができるということの幸せを感じ、皆さんがこれから一緒に切り開いていく現代演劇というものを、是非とも体験して欲しいと思い、この作品を田中麻衣子さんをはじめ皆様に託しました。
楽しみにしています。
公演は11月7日(火)~ 11月12日(日)まで、新国立劇場小劇場にて。
稽古場の模様は、X(Twitter)・FBから日々お届けいたします。
是非お楽しみに!
新国立劇場演劇研修所第17期生公演
『君は即ち春を吸ひこんだのだ』
作:原田ゆう
演出:田中麻衣子
公演日程:2023年11月7日(火)~ 11月12日(日)公演情報はこちらから
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