演劇研修所ニュース
第16期生修了公演『ブルーストッキングの女たち』稽古場だより
2月24日(金)~3月2日(木)上演の第16期生修了公演『ブルーストッキングの女たち』。日々、研修生たちは脇目も振らずに宮本 研氏によるこの大作に取り組んでおります。
稽古場最終日まで毎日ひとりずつ、研修生からの意気込みと見どころをご紹介してまいります!
らいてう役:越後静月(えちご・しづき)
【意気込み】
「女」と「男」が現在とは全く違うあり方をしていた大正時代。
踠きながらも一生懸命に生きていた彼女たちを演じられるのは心強いです。
今回私は平塚らいてう役を演じます。
人間として、女として、そして母として生き、自分とそして社会と戦い続けた人です。
「元始、女性は実に太陽であった」という言葉が有名ですが、私は「生きることとは行動することである。呼吸をすることではない」という言葉が好きです。 彼女の行動力を原動力にし、研修生として最後の舞台を楽しみたいと思います!
【見どころ】
失敗や挫折を糧に手探りのまま世間と戦っていく登場人物たちの姿です。
因習を打破しようと日々奮闘している彼らの生き様は、泥臭くも美しく輝いていると思います。
その輝きを是非劇場でご覧ください。
荒畑寒村役:笹原翔太(ささはら・しょうた)
【意気込み】
世の中について、考えなくても生きていける現代。
そんな平和な現代に育った私が、明治、大正、昭和を全力で生き抜いた、実在した人物を演じることは、本当に大きなチャレンジだと思います。
登場人物たちが抱えている、世の中に対する大きな不満、怒り、「世の中はもっとこうあるべきだ」という強い思想は、私にとって、本当に衝撃的でした。
どうすれば、役の理想や情熱、葛藤や苦労がお客様に伝わるだろう。
試行錯誤を重ねる毎日です。三年間の集大成。
舞台上に、大正時代を蘇らせて、全力で生き抜いてみせます。
【見どころ】
全員の生き様です。
思想、恋愛、友情、何事も全力で衝突します。それでいて仲のいい不思議な人たちです。
全員が不器用で、手探りで、一生懸命で、立ち止まることがありません。
世の中のおかしいと思うことには全力で立ち向かっていきます。
時代の波に必死に逆らっていく姿を、是非ご覧ください。
大杉 栄役:安森 尚(やすもり・なお)
【意気込み】
歴史上ではわずか15年。短いながらも激動の時代であった大正。その100年前の時代を生きた人間達を舞台という限られた空間で甦らせたい。
そんな事を想いながら、3年間の集大成の舞台として、今の自分にできる最大限の芝居をしたいと考えています。
同時に、自分の最大限という壁を突破できるように四苦八苦しながらも突き進んでいます。
どうぞよろしくお願いします。
【見どころ】
今の日本は、当たり障りのなく、波風のたたない、障壁の少ないものが好まれる傾向にあると私は考えています。
一方、『ブルーストッキングの女たち』劇中の時代は大正。100年前の社会は、今とは異なる文化、風習のオンパレード。聞き馴染みのない言葉も沢山あると思います。
その上、登場人物達の人間的な濃さも今とはまるっきり違います。
そんな現代とは全く空気感の違う大正を舞台を通して感じて頂ければ幸いです。
辻 潤 役:都築亮介(つづき・りょうすけ)
【意気込み】
朗読劇『ひめゆり』、試演会『燃ゆる暗闇にて』を経て、遂に3年間の集大成である修了公演になります。
『ブルーストッキングの女たち』は大正時代の物語です。教科書にも載っているような大杉 栄や平塚らいてう。
激動の時代を生きた彼らは何を信じて、何と闘っていたのか?
「想像の設定の中で真実に生きる」これが実現できるように全力で台本と向き合っています。
今回演じる辻潤は、最後まで自分を貫く、本当に芯の強い、かっこいい人間です。そんな辻潤を舞台上に乗せられるように精一杯頑張ります。
【見どころ】
2幕です!
時代の困難に立ち向かいながら、己の主義、思想を貫く彼らがどうなっていったのか。関東大震災の渦中でなにが起こっていたのか。
自分ににこだわり続けることの難しさ、こだわり抜いたかっこよさ、たくましく生きる全員の姿を目に焼き付けてください!!
野枝 役:伊海実紗(いかい・みさ)
【意気込み】
『ふけよ あれよ 風よ あらしよ』
これはわたしが演じる伊藤野枝が残した言葉です。
自由を求めて踏ん張り、時には飛び込んでいった女性。
わたしは彼女のことを、土から生まれ、海で育った女性だと思っています。
彼女と歩むこの期間は、勇気と力を山ほどもらいました。
野枝とわたし、2人で海に浮かんでみたり、眺めてみたり、叫んでみたり。
さまざまな旅路を楽しんでいます。
彼女の感じたままに素直に生まれることば。実感のまま生きていく。そんな彼女の人生を見つめ続けます。
研修生活の集大成です。全てを血肉にして挑みます。
【見どころ】
この作品に出てくる人々は、実在します。
約100年前、時代と共に生き、戦いました。
現代を生きるわたしたちともどこか通ずる部分があるのではないかと思います。
強さと繊細さをあわせもって作品を立ち上げていきます。
劇場でお待ちしております。
島村抱月・森憲兵曹長 役:松尾 諒(まつお・りょう)
【意気込み】
大正時代に生きた男と女、彼らが信じた主義を成し遂げよう、突き通そうとした熱量をどれだけ滲み出せるか。
実在した人物を演じるのは研修所公演では2度目です。調べても調べてもつくづく底が知れないと痛感しています。
大杉栄や島村抱月、伊藤野枝らは自分たちが生きている時代だけではなく、100年先の社会のことを見据えて行動し続けた人物たちです。彼らが生きた時代から100年が経った今、16期生が織り成すこの作品が現代に生きる観客にどう映って見えるのか......分からないけれど、俳優としての役割を全うする日々を重ねていきます。
【見どころ】
青踏、芸術座、無政府主義者、それぞれの信念を持った人物が言葉を交わし、意見を述べ合う中、各々の活動を続けていこうという信念や決意が垣間見える瞬間。そして、後半にかけて登場人物の関係性と状況が移り変わっていく様がみどころです。
当時雑誌一冊を出すのにも出版社からの許可が降りないようながんじがらめの社会の中で、もがいている人間をお楽しみください。
紅吉 役:藤原弥生(ふじわら・やよい)
【意気込み】
今回私が演じるのは尾竹紅吉という人物です。
青鞜社のメンバーだった彼女は、その男勝りな言動と風貌、また平塚らいてうと同性愛的な関係にあったことなど、当時、社会から求められていた理想の女性像とはかなり逸脱した生き様により、世間の注目を集めていました。
彼女のことをはじめて知った時、こんなにカッコいい女性が大正時代の日本にいたのか!!と強く心を打たれたと同時に、私自身、女性としてとても勇気づけられました。その紅吉を修了公演で演じることができることが本当に嬉しいです。
本作品では、登場する全てのシーンで場を盛り上げ、空気を明るくします。そんな愛すべき存在である紅吉をどうすれば舞台上で生かせるのか。日々考え、試しながら、私自身も彼女から元気をもらっています。
チャーミングで豪快な紅吉のエネルギーを皆様にお届けします!!
【見どころ】
シーンのつなぎ目にある各キャラクターの狂言回し風のモノローグです。本編では語りきれなかったことをそれぞれが各々の視点から語ります。
場面と場面の間にそんなことがあったのか!となると同時に、話し手の個性が色濃く出る部分だと思うので、注目して頂きたいです。
奥村 博・甘粕憲兵大尉 役:宮津侑生(みやづ・ゆうき)
【意気込み】
たったの3時間、とんでもない熱量で、役の人生を全うします。
大正時代は、ほんの100年前ですが、まるで違う国かと思うほどに現代とはかけ離れた世界です。
はいからさんが通る横には労働運動が起こり、洒落たカフェーでは思想家や活動家が会合を開き、何より「軍」というものが存在した世界です。
混沌としたこの社会で、道なき道を手探りながら突き進み、それぞれの信じるより良い社会の為に粉骨砕身駆け回った登場人物たち。
現在、稽古中ですが、まだまだ、まだまだ足りません。僕の身体も精神も何もかも、全て注ぎ込んで彼らに追いつきます。
【見どころ】
歴史の教科書の1ページ、1行にどれだけ濃密な生き様が詰まっているのか見届けていただきたいです。
今の私たちの生活もいずれは「2019年から云々...」とまとめられてしまうかもしれません。しかし、そこにはとても1行では収まりきらないそれぞれの闘いがあるはずです。
大正時代にも、死ぬほど生きた人たちがいました。ぜひご覧ください。
市子 役:米山千陽(よねやま・ちひろ)
【意気込み】
『ブルーストッキングの女たち』の時代を生きた若者は、決して現状に満足せず、破壊と創造を繰り返しながら、未来を切り開いていきました。
新しい何かを手に入れるのだ、自由を手に入れるのだというそのエネルギーたるや、凄まじいものです。
「Z世代」などと呼ばれる私たちですが、100年前の若者たちに負けてはいられません。
台本の力強さに圧倒されながらも、より密度の高い舞台になるように負けじと稽古を重ねています。
研修生としては最後の公演ではありますが、俳優としてはここから始まるのだという気持ちで挑みたいと思っています。
【見どころ】
幕開けすぐの青鞜社の様子はぜひ楽しんで観ていただきたいです。机の上の小道具にも一つずつ細かい設定を付けています。リアルな生活感を出したいです。
生きていく上で無視はできない「恋愛」の要素も沢山入っています。ただのラブロマンスでない、いろいろなかたちの愛が描かれていますので、ぜひご注目ください。
保子・魔子 役:岸 朱紗(きし・あかしゃ)
【意気込み】
大正時代で思い浮かぶのは、濃く鮮やかな色が入り乱れる様子です。激動の時代に熱く熱く生きた人たちの血にも思えます。その人たちを生きるのは相当なエネルギーが必要です。
今回は二役に挑戦します。
夫に尽くし本音を大っぴらに話さない保子と、自分に正直に真っ直ぐ生きる魔子。
対照的な二人を一人が演じる意味も考えながら日々稽古に挑んでいます。
魔子は6歳です。子どもという存在は未来への希望だと思います。新しい生命は美しいです。どんな景色がみえるのか......
最後まで挑み続けます。
【見どころ】
この作品の登場人物は全員実在していました。明日の自分のご飯が食べられなくても、社会を変えようと生きた人々。
そのエネルギーはどこからくるのか、何をみていたのか......現代に生きる自分にチクリと刺さります。
月日の流れとともに変化していく登場人物にもぜひご注目ください。