踊り継ぐ叫び。
ひとの世の 旅路のなかば ふと気がつくと
私はまっすぐな道を失い 暗い森に迷いこんでいた
という有名な起句で始まるダンテの『神曲』。
清濁併せ持つ人間の本質を鋭く捉え、壮大な世界観で描くこの叙事詩が書かれてより700年の
時が過ぎ、
人類はまもなく21世紀の扉を開けようとしている。
その栄光に満ちた歴史と、その影で飽きることなく繰り返される暴力と残虐の行為の数々。
西田堯は、こうした現実に目を背けることなく、真摯に人類の足跡を振り返る。
我々が生きた20世紀もまた、『神曲』地獄篇さながらの激動の時代であった。
歴史のうねりに呑み込まれ、闇に消えていった数限りない死者たちへのレクイエムとして、
また、苦難を乗り越えひたすら高みをめざさんとする人々へ祈りをこめて創り上げる西田の新作。
人間と踊りへの限りない愛を湛えた現代版『神曲』にどうぞご期待ください。 |