鋭い感性と表現力で時代を捉え、過激なまでの舞台を創る能美健志。
開場記念公演では新作「リジェネレイション」を発表、言葉とダンスを巧みに組み合わせ、混迷の時代を生きる男女の不条理を鮮烈に描き出した。21世紀を担う若手成長株として着実に活動を続けている能美が、新シ−ズンのスタ−ト切って再登場する。
アルゼンチンタンゴの楽曲を伴奏音楽から脱却させて芸術的な楽曲にまで高めたピアソラ(Astor Piazzolla 1921−1992)。自ら「危険な音楽」と呼ぶピアソラの音色は、心の奥にしまい込まれた生の感情が激しい衝動となって呼び覚まされるような、そんな危険な陶酔に聴く者を駆り立てる。ノスタルジックな中に見え隠れする暴力、怒り、不安、愛、欲望、光、影、孤独。それらは彼自身の生き様であると同時に、現代社会を読み解くキ−ワ−ドでもある。
ダンスプラネットNo.4は、彼の作品の一つである「現実との3分間」−Tres minutos con la realidad−というタイトルから想を得て創り上げる、刺激的なダンス。それは、彼の音楽性や生き様に共感する能美の、ピアソラへのオマ−ジュ。世紀末を生きる男と女、現実(光)と非現実(影)が目まぐるしく錯綜する能美健志の世界が、小劇場の闇を突き抜ける。
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