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ディア・ライアー すてきな嘘つき ―バーナード・ショーとミセス・パトリック・キャンベルの往復書簡による―
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はじめに
この作品は先月急逝した新国立劇場演劇部門芸術監督、渡邊浩子が翻訳・演出(開場記念公演「紙屋町さくらホテル」に次いで演出予定)を予定していた公演です。渡邊は1968年にモスクワ芸術座の特別公演として日生劇場で公演した本作品を見て、大変感銘を受けたそうです。また、1965年に演出家としてデビューしてから間もない1967年にアーノルド・ウェスカーの二人芝居『フォー・シーズン』を演出するなど、早くから二人芝居を積極的に手掛けており、本作品にも特別の愛着を抱いておりましたので、渡邊の遺志をつぎ、新しく演出家には青年座の演出家としてのみならず、外部公演でも活躍のめざましい宮田慶子を迎えて上演する運びとなりました。
英国で、シェイクスピアに次ぐ上演回数を誇る劇作家バーナード・ショーと、英国演劇界に君臨した伝説の女優ミセス・パトリック・キャンベル。40歳代半ばを迎えたショーが、9歳年下のキャンベルに一通の手紙を送ったのは、1899年のこと。以来彼女が亡くなるまでの40年間にも亘り、二人の間には手紙が往復することになります。
彼らの数百通におよぶ往復書簡をもとに、俳優としても活躍するジェローム・キルティが舞台化したのが、『ディア・ライアー』です。1957年のシカゴでの初演を皮切りに、欧米各地で上演されてきました。二度の世界大戦を含む大きな時代の荒波や変革と戦い、そして家族を失い、やがて訪れた抗いようもない老いに直面しながらも有名人であり続けた二人による、愛と友情の物語です。
『ディア・ライアー』は彼らの往復書簡をもとにしているとはいえ、ただそれらを朗読するわけではありません。例えばミュージカル『マイ・フェア・レディ』の原作『ピグマリオン』のエピソードでは、イライザとヒギンズ教授の出会いや、イライザが社交界にデビューするパーティの場面が劇中劇として登場。また、ショーの晩年の作品で、彼らの関係を題材にしたといわれる『アップル・カート』を織り込み、美女オリンシアが王マグナスに妻との離婚を迫る場面を二人が演じるうちに、いつしかショーとキャンベル自身に戻って激しく言い争うといった興味深い構成がなされています。
出演は、市原悦子と江守徹。円熟期を迎えた名実共に実力派の競演で、見応えのある舞台が誕生することでしょう。40年にもおよぶ歳月を、劇作家・演出家と女優としての関係を超え、人間として真摯に向き合ったショーとキャンベル。その微妙に絡み合う心理が、さまざまな角度から浮き彫りにされていく『ディア・ライアー』は、二人芝居の魅力をあますところなく発散させます。 |
キャスト
バーナード・ショー……………………江守徹
パトリック・キャンベル………………市原悦子
スタッフ
作 :ジェローム・キルティ
訳 :丹野郁弓
演出 :宮田慶子
美術 :堀尾幸男
衣裳 :緒方規矩子
照明 :中川隆一
音響 :高橋巖
演出助手:藤井清美
舞台監督:三上司
芸術監督:渡辺浩子 |
S席:6,300円
A席:5,250円
B席:3,150円
(税込み)
前売開始 :1998年9月6日(日)10:00〜
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14:00 |
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あらすじ
英国を代表する劇作家バーナード・ショー。そして英国演劇界に君臨した伝説の女優ミセス・パトリック・キャンベル。二人にはキャンベルが亡くなるまでの40年間にも亘る秘められた恋があった。この作品は、二人の間を行き来した数百通に及ぶ往復書簡による、愛と友情の物語である。
小説家、音楽批評家、演劇評論家としてのキャリアに終止符を打ち、劇作家として戯曲を書き始めたショー。彼は、大スターであるキャンベルが自分の作品に出演してくれることを強く望むのだった。ショーから仕掛けた二人の関係が始まってから十数年、人気作家になったショーは、ついにキャンベルを主役にした傑作を書き下ろす。主役の名は、イライザ。あの有名なミュージカル『マイ・フェア・レディ』の原作となった『ピグマリオン』だ。しかし、戯曲を前にした二人の意見はすれ違うばかり。ようやく上演にこぎつけ、ショーとキャンベルは、ロンドン中を席巻する大成功を収める。こうして二人の愛と友情は、幸せな結末を迎えるかのように思われたが…。
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<市原悦子VS江守徹>
市原悦子・江守徹が挑む二人芝居
これは、四十余年の長きにわたって人間として真摯に向き合った二人の物語です。女優パトリック・キャンベルには市原悦子、劇作家バーナード・ショーには、江守徹が取り組みます。円熟期を迎えた名実共に実力派の競演という、作品にふさわしい、ベストな組み合わせが実現しました。共に長い俳優生活で、舞台での共演は初めてという二人による、磨き上げられ、研ぎ澄まされ、それでいて香り立つような、そんな舞台が生まれそうな予感があふれています。
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