有名なセルバンテスの小説『ドン・キホーテ』を題材にしたこのバレエは、プティパの振付により1869年にモスクワ・ボリショイ劇場で初演されました。陽光ふりそそぐ南国スペインが舞台の楽しいストーリー、色鮮やかな衣裳をまとい次々と登場する踊りは高度なテクニックの連続で、プティパが愛してやまなかったと云われるスペインの民族舞踊の要素もふんだんに取り込まれた、見応えあるバレエ作品です。
新国立劇場では、当時のボリショイ劇場バレエ芸術監督ファジェーチェフ氏を招いて新制作の『ドン・キホーテ』を1999年3月に初演しました。プティパの精神になるべく忠実に、しかも今の時代にふさわしい庶民性を大切にした演出は大好評をいただき、再演のたびにオペラ劇場の広い空間いっぱいに明るさを振りまいてきました。
その感動の舞台が再びオペラ劇場に帰ってきます。今年はセルバンテスの原作が初めて世に出てからちょうど400年目にもあたります。プティパ振付作品が勢ぞろいした今シーズンを締めくくる『ドン・キホーテ』の、軽妙洒脱なストーリー展開を存分にお楽しみください。