「これが報いというものだ・・・・・・。」
強烈なまでの愛憎と死が、ここに結実。
アイスキュロスによるギリシャ悲劇『オレステイア』三部作の構成をモチーフにとった超大作が登場します。ユージン・オニールは、アメリカ演劇界にリアリズムを持ち込み定着させた立役者と賞される国民的人気作家。人間という存在を徹底的に解剖する彼独特の深い眼差しで、真実の姿を描き出す作品を数多く残しました。新国立劇場では2000年に上演し、絶賛された作者晩年の自伝的戯曲『夜への長い旅路』に続き、ノーベル賞受賞の原動力となった代表作『喪服の似合うエレクトラ』を取り上げ、お届けします。世界各地で上演されるこの人気作品を、『夜への長い旅路』に引き続き今回も栗山民也の重厚な演出で本格上演。一族の血から逃れられない宿命を持った家族が、罪からの開放を願いながらも、神を否定する世界観を受け止め自己破滅に至る・・・・・・。そのたどる道程が、深く、壮大に描かれます。人間のあり方、その脆さを痛烈に暴き出し、その普遍的な欲望を露わにして、観る者の心に直接響かせる舞台は必見。新国立劇場が自信をもってお送りするキャスト・スタッフが揃ったこの秋最大の話題作に、どうぞご期待ください。
あらすじ
――南北戦争直後のアメリカ・ニューイングランド。従軍した父エズラと弟オリンの帰りを心待ちにするラヴィニアは、母クリスティンが船長アダムと恋仲であることを感じ取り、父への裏切りに苛立ちを隠せない。母を強く問い質し、ついに二人の関係が暴かれてしまうと、すぐにアダムと別れなければ父にも告げて破滅させると迫るのだった。告げ口を恐れたクリスティンは、アダムを焚きつけて夫を殺害する計画を企ててゆく。やがてエズラが帰還。アダムの噂を耳にしているものの、これまでの冷たい夫婦関係をあらため、何とか妻ともう一度やり直したいと願うエズラだったが、口論の末に持病の心臓発作が起こり、クリスティンの用意した毒薬によって死んでしまう・・・・・・。
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