母には恋人が来た。息子にはリストラが来た。
一番身近にいる人のことを、本当に理解できているのだろうか?今まで本音で語り合うことを避けてきた人間同士が、真正面から向き合って話すことを始めたら?・・・
下町情緒を色濃く残す商店街。その一角にある実家に、神崎昭夫は舞い戻った。このところ会社でも家でも人間関係のうまくいかない昭夫にとって、自分が生まれ育った浅草の家は最後の拠り所だった。だが父亡き後、一人暮らしを満喫していた母の福江は迷惑そう。傷心の昭夫を慰めるどころか「出戻り息子」と呼び放ち、趣味や勉強、ボランティアに励む姿は昔と別人だった・・・・・・。
2001年、数々の演劇賞に輝いた『こんにちは、母さん』が帰ってきます。現代人が陥る没コミュニケーションへの警鐘を込めて、「知っているはずの人間と改めて出会うドラマ」というテーマのもとに上演された初演では、下町を舞台に、加藤治子と平田満扮する親子と彼らを取り巻く悩み多き個性的な面々が、笑いあり涙ありの物語を展開して、この年の演劇界の話題をさらいました。熱い再演の要望が寄せられていた作品が、今回は東京での公演、そして新国立劇場の演劇公演としては初めてとなる各地の会館での全国公演として再登場します。
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