京都を拠点に活動する若手劇作家の鈴江俊郎と、若手演出家の注目株である文学座の松木祐子との初顔合わせにより、フレッシュなキャストで若い「女と男の風景」を描く新作。何気ない日常会話で綴られていく台詞を、慎重に積み上げて構成した緻密な舞台には、胸を打つ懐かしい光景があふれ出します。
女性教師役に舞台・TVで活躍する裕木奈江、教え子の高校生役には狂言の世界に留まらず様々な分野に挑戦している茂山逸平、同僚教師役に青年座の若手実力派・檀臣幸が出演し、宝石のような言葉が零れ落ちる舞台を彩ります。
等身大の若者たちが通わせる今この時代の言葉の積み重ね。若さゆえの輝きと若さがいとおしくなる作品です。
あらすじ
──新学期の始まる春。ある日、紙漉きで有名なとある町の旅館に、高校の英語教師・有紀とそのクラスの男子生徒・三平が転がり込む。教師でありながらその教え子と、教え子でありながらその生徒と恋に落ちた二人であった。その関係はやがて周知のこととなり、その日二人は別れを誓わされるはずだった。
いつも外に対して構えていた二人だったが、ようやくお互いを見つめ合い始める。やがて二人は欠けていた言葉を見つけ出すのだった。
そこへ同僚教師・石田が現れる。わずかな手掛かりを頼りにその旅館を探し当てたのだ。石田は二人の関係よりも、それぞれの生き方をなじる。人は独りぼっちだ、だが、それでも生きていこうとする。石田のそんな言葉は、さらに二人を追いつめていく・・・・。
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