新国立劇場からのお知らせ
令和5年度 新国立劇場研修所 修了式が行われました
3⽉22⽇、新国⽴劇場オペラパレス・ホワイエにおいて、令和5年度 新国⽴劇場 オペラ研修所・バレエ研修所・演劇研修所の修了式を行いました。
今年度も引き続き、関係の皆様に向けて式の様子をライブ配信いたしました。
今年度はオペラ研修所第24期生 (5名) 、バレエ研修所第19期生 (6名)、 演劇研修所第17期生 (7名)の計18名が修了を迎え、 今後それぞれが舞台人としての道を歩み出すことになります。
最初に銭谷眞美新国立劇場運営財団理事長より式辞がありました。
本日修了を迎えた皆さんは、コロナ禍の最中に研修が開始され、マスクを着用してのレッスンやリハーサル、講師と十分に距離をとっての授業など様々な制限を受ける中での研修生活を送る時期が続きました。皆さんのこれまでの研修成果は、それぞれの修了公演に結実しており、いずれの公演も大変素晴らしく、お客様から高い評価をいただいていたと思います。
新国立劇場研修所を修了した者としての誇りと自覚をもって、オペラ、バレエ、演劇各界の発展に貢献すべく、これからもより一層の研鑽に励み、着実に成果を上げ、グローバル・トップクラスのプロとして活躍されることを心から願っております。
都倉俊一文化庁長官、杉浦久弘日本芸術文化振興会理事長代理、矢澤潤子全日本空輸株式会社取締役常務執行役員から御祝辞をいただきました。
都倉俊一文化庁長官からの御祝辞
本日修了される皆さんが研修をスタートされたのは、コロナ禍の真っただ中で、いろいろなご苦労があったかと思います。文化庁としては、ライブ・パフォーマンスをさらに支援したいと考えています。コロナ禍終息後、才能ある芸術家たちが離職し、文化・芸術の担い手がいなくなったら国としては大変な損害となりますので、芸術家への経済的な支援を行っています。
またライブ・エンターテインメントにとって一番大切なのは"表現の場"です。花は肥料だけでは育ちません。太陽や水がないと枯れてしまいます。ライブ・パフォーマンスにとって、水や太陽である"表現の場"が必要で、芸術家にとってこれが一番大切であると考えています。
文化庁では、CBX(Cultural Business Transformation)を進めています。文化・芸術の担い手である芸術家の活躍を大きなビジネスとして、日本から世界中に発信することを推し進めます。今後芸術家として、表現者として日本のみならず世界で活躍されていくことを期待しています。
杉浦久弘日本芸術文化振興会理事長代理からの御祝辞
舞台芸術界全体が新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、様々な制約のもとでの研修を余儀なくされました。ここに至るまでの道のりは平坦ではなかったと推察いたします。それを乗り越えてこられた皆さまの弛まぬ研鑽と強い意志、そして皆さまを支え励ましてこられたご家族並びに関係者の皆さまにも、敬意を表します。本日で研修は修了しますが、同時にプロの実演家として長い旅路の第一歩を踏み出されることになります。今後研修所出身者として、日本、そして世界の舞台で活躍され、多くの人に夢と感動をもたらすアーティストとして大成されることを祈念いたします。
矢澤潤子全日本空輸株式会社取締役常務執行役員からの御祝辞
研修期間中、コロナの影響で様々な制限があり、ご苦労があったと伺っています。そのような中での日々の研鑽は、皆さんの表現力をより豊かにされたことでしょう。
今年度も、演劇研修所では沖縄研修、海外ではバレエ研修所はカナダ、オペラ研修所はイタリアでの研修をサポートさせていただいたことをとても嬉しく感じています。現地で五感で受けた刺激を今後の活動に活かしていただければ大きな喜びです。本日で研修は修了されますが、これからも研鑽を積まれ、世界を舞台に羽ばたかれることをお祈りいたします。
※全日本空輸株式会社には、オペラ研修所・バレエ研修所の「ANAスカラシップ」、演劇研修所の「若手俳優育成のための国内研修事業支援」により研修事業全体をご支援いただいています。詳しくは以下のページをご覧ください。
>ANAスカラシップ(オペラ研修)
>ANAスカラシップ(バレエ研修)
>全日本空輸株式会社による新国立劇場若手俳優育成のための国内研修事業支援(演劇研修)
佐藤正浩オペラ研修所長、小倉佐知子バレエ研修所長、宮田慶子演劇研修所長が各修了生たちに修了証書を授与し、修了生へのはなむけの言葉を贈るとともに関係者の皆様への御礼を述べました。
佐藤正浩オペラ研修所長からのお祝いの言葉
研修を経て大きな成長を遂げ、いろいろな局面で素晴らしい対応をしてくれたと思います。
修了公演『カルメル会修道女の対話』でも皆さんは歌唱・演技面でひとり一人が素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。
また、この台本には我々の人生と重なる部分も多くありました。「あなた方は私の財産です。私はその財産を窓から投げ捨てるようなことはしません」という台詞があり、自分の人生と重なっていると感じました。当公演の指揮者や演出家から、直前になって大きな変更の要望が出ましたが、これは真の意味で芸術の高みを目指すからこその要望でした。これこそが芸術家の証であり、皆さんもこのようなこだわりを持った音楽家・芸術家になっていただきたいと思います。研修を修了しても、皆さんは私の財産であり続けます。引き続き応援していますので、頑張ってください。
小倉佐知子バレエ研修所長からのお祝いの言葉
皆さんは今日を境にプロの世界に入られます。鳥に例えれば巣立ちです。巣立ちがなかなかできない雛もいますが、命がけですのでいつかは必ず巣立っていきます。今後不安を感じたり、困難を乗り越えていかなくてはならない局面もあると思いますが、怖れる必要はありません。まず、皆さんは既に好きな路を選べていて、その好きなことを生業とするスタートラインに立っているからです。困難は一流になるための試練なのです。自分を信じて、芸術家としての道を究めていただきたいと思います。大変なことにチャレンジするからこそワクワクするのです。皆さんが内面を表現できるダンサーになられることを楽しみにしています。
宮田慶子演劇研修所長からのお祝いの言葉
皆さんが入所した2021年はコロナ禍の最中で、この年3回も緊急事態宣言が出されました。そんな異常事態の中で、自分の研鑽の方法を探し、自分の道を探った日々はこれから大きな力になるはずです。今後、一見このマイナスに思える経験を大きなプラスに変えて進んでいってほしいと思います。
修了公演は私の演出でしたが、言い残すことがないように、稽古中はかなり厳しいことも言いました。ただ、どこへ行っても厳しい世界です。挫けないで進んでいってほしいと思います。
「卒業」と「修了」の違いを調べました。「卒」は学業を全て終えるという意味で、「修」は学業・研鑽・研修の一定の課程を終えるということだそうです。これからも一生学んでいくことになると思います。今回の「修了」は、その初めの一歩をようやく終えたということです。
これからも俳優という仕事、演劇を愛し続けてほしいと思っています。学び続けることの楽しさ、終わることのない、だからこそ面白い演劇の道を歩んで行ってください。
最後に修了生一人ひとりが挨拶をし、温かい拍手に包まれて令和5年度の修了式が終了しました。
少しずつコロナ感染拡大以前の環境に戻り始めており、各研修所では、海外招聘講師による特別授業や、昨年に引き続き海外研修などが実施されました。今年度修了生の入所時は、コロナ禍の最中でしたが、こうした体験も含め様々な経験は一流のアーティストを目指す修了生にとって大きな糧となるに違いありません。皆様のこれまでのご声援に深く感謝するとともに、今後の新国立劇場研修所修了生たちの活躍にぜひご期待ください。
修了公演舞台写真
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