新国立劇場からのお知らせ
令和4年度 新国立劇場 研修所入所式を開催しました
4月21日(木)、オペラ研修所第25期生(5名)、バレエ研修所第19期生(6名)、バレエ研修所予科第14期生(3名)、演劇研修所第18期生(12名)の入所式がオペラ劇場ホワイエにて行われました。
新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、登壇者、参加者の人数を限定し、関係者には、式の様子をインターネット配信するかたちで開催されました。
最初に式辞として尾﨑元規理事長 が「厳しいオーディションを突破して本日の入所式を迎えられたことを心よりお祝い申し上げます。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、研修も様々な制約の中で行われています。一方、劇場には観客が集い、連日熱い拍手が送られており、歴史的な困難を生き抜いてきた舞台芸術の強さを実感しています。プロの歌手、バレエダンサー、俳優を目指すことは並大抵のことではありません。コロナ禍という未曽有の災禍の中にあっては、一層の困難が伴います。しかし、この困難は誰も避けることができません。忍耐強く、将来に備えて研鑽に励み、乗り越えていただきたいと思います」とお祝いと励ましの言葉を贈りました。
続いて、永井和子オペラ研修所長、小倉佐知子バレエ研修所長、宮田慶子演劇研修所長が、新年度に入所する研修生たちに認定証を授与し、励ましのメッセージを贈りました。
永井和子オペラ研修所長からの励ましの言葉
昨日は二十四節気の一つ穀雨の始まりでした。今朝は晴れて、とても新緑が美しかったです。これから本当に眩しい新緑一色の季節を迎えます。そして厳しい夏を越えて、実りの秋が来ると、その木々がそれぞれに赤、黄色、橙色など見事に個性的な色彩を纏います。
今の時期の皆さんを拝見すると、皆同じように眩しい初々しいグリーンの色です。そして研修所を修了する頃には、それぞれに個性的な美しさを輝かせるのだろうと思います。劇場の中にある研修所というたいへん恵まれた環境の中で、自分と対峙しながらそれぞれの芸術性を高めていっていただきたいと思います。それぞれがどんな実りの色をだしてくれるのかを楽しみにしています。
小倉佐知子バレエ研修所長からの励ましの言葉
これから手に余るくらいの知識、芸術、技法、人としてどうあるべきかということも体験し学んでいけることが約束されたことに対して「おめでとう」という言葉を皆さんに贈りたいと思います。皆さんには「打てば響く鐘」であっていただきたいと思います。鐘を打つのは我々指導者で、響くのは皆さんです。最初は注目されるような音色でなくていい。とにかく打たれたら響いてもらいたいと思っています。響いていくうちにだんだんと結果を得ていくはずです。オペラの方は歌い演じることを、バレエの方は踊ることを、演劇の方はお芝居を愛していると思います。それぞれの芸術を愛してさえいれば、研修期間中悩み挫折しそうになる時があったとしても乗り越えていけるはずです。この恵まれた環境で学べるチャンスを掴めた自分自身の力、幸運を信じて前に進んで行っていただきたいと思います。
宮田慶子演劇研修所長からの励ましの言葉
これからの毎日は、良い俳優になる、そして自立した演劇人になるという、とても明確な目標の為に生活をしていくことになります。俳優、演劇人なるということとは、世界中で書かれた戯曲を基に、世界の人たちの生活や頭の中や習慣や文化や、すべてのことと触れ合いながら、その中に暮らす人間を作っていくということ。いつも視野を広く持ち、世界の事を同時に眺めながら勉強していける演劇人になってほしいと思います。
舞台芸術の仕事は人間が基準です。人間の尊厳があるからこそ、我々は芸術活動をしています。皆の心の健康、精神の健康、社会の健康の為に、我々は微力ながらここで演劇をやっているという事を忘れないでいてほしい。オペラもバレエも演劇も、みなそれぞれ世界に向かって発信するものであることを絶対に忘れないで行きましょう。
続いて、文化庁 審議官 中原裕彦様(都倉俊一文化庁長官からの祝辞代読)、(独)日本芸術文化振興会理事長代理 理事 氷見谷直紀様よりお祝いのお言葉をいただきました。
文化庁 審議官 中原裕彦様 都倉俊一文化庁長官からの祝辞代読
この研修所では、芸術に関する幅広い視野を持ったプロフェッショナルになるべく、様々な知識、技術、教養を身につけていただきます。文化庁としては、新国立劇場を東洋一の劇場にしていきたいと思っています。皆様には世界に羽ばたく実演家として、文化芸術のさらなる発展に向けて活躍されることを期待しています。研修生活の中で困難にぶつかることもあるでしょう。その時は、皆様がこの場で抱いている夢を思い出してください。講師の方々からの教えを受け、仲間と切磋琢磨していく中で、壁を乗り越えていける時がくると思います。
(独)日本芸術文化振興会理事長代理 理事 氷見谷直紀様祝辞
研修期間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。この限られた期間に、各分野の素晴らしい講師の方々からいかに多くを学び、自分のものにしていただくか。この研修期間を有意義に過ごされ、やがては国内外の舞台で活躍し世界に羽ばたき、多くの観客に夢と感動をもたらす実演家に成長されることを心より期待しております。
皆様は、「好きである」ということでこの道を選ばれたのだと思います。皆様が極める道はまだまだ長いものがあります。その長い道のりを、「好きである」という気持ちを忘れずに進んでいただければと思います。
引き続き、ANAホールディングス株式会社 取締役副会長 平子 裕志様よりオペラ研修所第24期生(5名)とバレエ研修所第18期生(4 名)に「ANAスカラシップ」認定証が授与されました。その後平子様よりお祝いのお言葉をいただきました。
ANAホールディングス株式会社 取締役副会長 平子 裕志様祝辞
ANAには「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」という企業理念があります。しばらく前までは世界がどんどん近くなっていると思っていましたが、昨今はあらゆることに壁があると思わざるを得ないのですね。こういう時こそ、この「心の翼」が必要であると思います。なぜなら「心の翼」を持っていれば、どんなに高い壁があっても、それを広げて乗り越えることができると思ったからです。では「心の翼」を広げた状態というのがどういう状態かと皆さんは想像しますか?この問いに対する答えは十人十色です。代表的な答えをいくつかご紹介しますと、「いろいろな制約から離れて、自分の意志、感情を自由に表現できるという状態」「経験したことのない未知の世界に飛び込んでそれを既知に変えること」「周りの人と笑い合ったり、感謝して、感謝されること」「自分一人だと心の翼は広げられない。バックグラウンドが違う人が集まってこそ飛び立つことができる」などがあります。それぞれ色々な答があってよいのだと思いますが、共通するのは「人」です。本日この会場に皆さんと同年代のパイロットのタマゴであるANAの社員が来ています。彼女の答えは「挑戦に向けたTAKE OFF」でした。飛行機が飛び立つ前の機内ではなぜかワクワクしますよね。これはこれからどんな出会いがあるのだろう、その出会いがどんなものであるかを想像することが大事です。その先に未来が待っていると思うのです。これから始まる研修の間に自分の「心の翼」を広げる瞬間が訪れると思います。是非、夢に溢れる未来への土台作りをしていただきたいと思います。
新国立劇場では全日本空輸株式会社より、オペラ研修所・バレエ研修所の「ANAスカラシップ」、演劇研修所の「若手俳優育成のための国内研修事業支援」として研修事業全体をご支援いただいています。
詳しくはこちらをご覧ください。
> ANAスカラシップ(オペラ研修所)
> ANAスカラシップ(バレエ研修所)
> 新国立劇場若手俳優育成のための国内研修事業支援(演劇研修所)
ANAスカラシップ認定者
オペラ研修所第24期生
・大城みなみ
・大髙レナ
・佐藤克彦
・長冨将士
・前島眞奈美
バレエ研修所第18期生
・五十嵐玲奈
・小野田陽斗
・下川佳鈴
・中川奈奈
・縄田花怜
最後に、各研修所の新入所生が一人ひとり今後の研修生活に向けての抱負を語りました。
オペラ研修生、演劇研修生は3年間、バレエ研修生は2年間にわたり、国内外で活躍する一流の講師陣による実習や講義のほか、研修公演など、多様なカリキュラムに取り組みます。
新国立劇場研修所で研鑽を積み、プロフェッショナルなオペラ歌手、バレエダンサー、俳優を目指す研修生たちにどうぞご期待ください。
令和4年度新入生(計26名)
オペラ研修所
オペラ研修所第25期生(5名)
大竹悠生
冨永春菜
永尾渓一郎
野口真瑚
松浦宗梧
バレエ研修所
バレエ研修所 第19期生(6名)
小田那奈
朔 元信
神野日菜
竹花治樹
田尻紗菜
堀之内咲希
バレエ研修所予科生 第14期生(3名)
小寺夏鼓
三國日々音
宮脇沙來
演劇研修所
演劇研修所 第18期生(12名)
飯田梨夏子
石井瞭一
石川愛友
齋藤大雅
髙岡志帆
篁 勇哉
中村音心
滑川綾菜
平硲菜未
山本毬愛
横田昂己
萬家江美
- 新国立劇場HOME
- 新国立劇場からのおしらせ
- 令和4年度 新国立劇場 研修所入所式を開催しました