演劇公演関連ニュース

演劇『テーバイ』にて目や耳に障がいを持つお客様への観劇サポートを実施いたしました

11月16日(土)、17日(日)、19日(火)の演劇『テーバイ』にて、目や耳に障がいを持つお客様向けのサポートを実施いたしました。

今回、視覚に障がいをお持ちの方向けのサポートには21名(そのうち、障がいをお持ちの方は11名)、聴覚に障がいをお持ちの方向けのサポートには7名(そのうち、障がいをお持ちの方は7名)、合計28名の方々にご参加いただきました。

『テーバイ』はギリシア悲劇3作品をモチーフとして、戯曲として再構成された対話劇です。本作を十分にお楽しみいただけるよう、実施したサポート内容およびサービスの詳細をご紹介いたします。


目に障がいをお持ちの方向けの観劇サポート(11月17日(日)、11月19日(火)開催)

事前舞台説明会

開演前の舞台説明会では、舞台や作品をお楽しみいただく助けになるようホワイエでの説明と、舞台上での説明をおこないます。

まずはホワイエにて、ご自身のお座席の位置や今回の舞台について、日本舞台美術家協会の製作した「触る模型」を使ってお伝えしました。事前に劇場内の様子を想像していただくことで、ご説明の際に位置関係が実感しやすくなればという想いがあります。

★DSC_0439.JPG
触る模型ではご自身の座席位置をご確認いただきます。


★DSC_re0530.JPG
今回の作品では舞台後方に観音開きの扉があります。
触る模型で構造を確かめていただきました。

その後小劇場の舞台上に実際にお上がりいただき、スタッフの解説のあと舞台上を歩いていただきました。事前に触る模型でご確認いただいた舞台装置等が、実際舞台上のどこに配置されているかを確認していただきました。
また、スタッフが舞台の四方から手を叩き、音の聞こえ方をご体感いただきました。

DSC_0465.JPG
舞台装置の形状や雰囲気、音の聞こえ方をご案内しました。


★DSC_0498.JPG
触る模型で構造を確かめていただいた観音開きの扉を
実際に触っていただきました。
扉が開くたびに音が鳴る仕組みにより登場人物の出入りを確認いただけます。

本作では、複数の机と椅子が舞台上に置かれています。それぞれデザインの違いや材質が登場人物の身分の差などを象徴的に表現しています。
舞台上で実際に触れていただくことでその違いを感じていただきました。

★DSCre_0467.jpg
物語の中で王が座る椅子。実際に触っていただき、質感・飾りなどをご体感いただきました。
★DSC_0494.JPG
謁見者などが座る椅子。

また、作品には床面中央にギリシャ神話における「テーバイ」をモチーフにした紋章が登場します。触る模型では紋章の絵が立体的になっており、モチーフの絵を体感していただきました。

★DSCre_0523.jpg
機関執務室の場面で舞台中央床面に配置されている紋章。
★DSC_0435.JPG
物語の中で「コロノスの聖域」に使用されているロープ。実物サンプルを触っていただきました。

上演中のリアルタイム音声ガイド

★DSC_0624.jpg
リアルタイム音声ガイド。シンプルな作りで操作も簡単です。

上演中には、リアルタイム音声ガイドのサービスをご提供しています。このサービスは、舞台上の照明や装置・小道具、俳優の動きについて、別ブースからナレーターがリアルタイムで解説を行い、その解説を舞台の生音と同時にイヤホンでお聞きいただけるものです。片耳のみイヤホンをご装着いただくため、キャストの声を妨げることはありません。

解説のナレーターは持丸あいさんが担当し、台詞の間をつかって、会話以外の動きや情報について簡潔かつ丁寧に解説を行います。上演直前には作品の見どころ解説も配信され、公演をよりお楽しみいただけるよう工夫が施されています。

お客様の声

「細かく案内していただきました。実際に舞台に上がれた経験がとてもよかったです。」

耳に障がいをお持ちの方向けの観劇サポート(11月16日(土)、11月19日(火)開催)

ポータブル字幕機の貸出

IMG_1192-2.jpg
取り付け後の様子。アームスタンドはあらかじめスタッフが座席に取り付けます。画面の位置はお客様に合わせてご調整可能です。

音の情報を文字でご覧いただけるポータブル字幕機をお貸し出しいたしました。
ご使用いただくポータブル字幕機は、スマートフォンサイズ。アームスタンドを用いてクリップで座席に固定できるためハンズフリーで公演をお楽しみいただけます。専用のアプリケーションを使用しており、自動でテキストが切り替わるため、お客様ご自身での操作は不要です。また、画面にフィルムを貼っているため、光漏れの心配もなく公演に集中していただけます。

表示される文字には色やフォントの工夫が施されています。役名ごとに色分けされているため、台詞の多い公演でもどの役の台詞かが一目で分かるほか、声を荒げるシーンではフォントを変えるなど、セリフのニュアンスも伝わるよう工夫されています。

★DSC_0614.JPG
実際の見え方。
★DSC_0621.JPG
隣の席からの画面の見え方。
画面にはフィルムが施されているため、光漏れの心配はございません。

手話通訳などの受付時のサポート

耳に障がいをお持ちのお客様向けの観劇サポートの受付では、事前に準備したご案内シートに加え、手話通訳者や要約筆記者を配置しています。チケットの受け渡しなどのご案内のほか、その場でのご質問にもお答えできる体制を整えております。

また、会場スタッフは視覚的にお客様をご案内できるよう、会話用のフリップを準備しています。新国立劇場の主催公演では、案内係が指差し会話表や筆談具、音声・文字変換アプリも準備しておりますので、お困りの際はどうぞお気軽にお近くの係員にお声がけください。

★DSCre_0576.jpg
ご案内の際の要約筆記の様子。
DSC_0581.JPG
案内係が携帯している会話用のフリップ。





新国立劇場は、多くの方にとって舞台芸術や劇場が身近なものになりますよう、これからも様々な取り組みを続けてまいります。




今後の観劇サポート(演劇『白衛軍 The White Guard』)

目に障がいのあるお客様向け(開演前舞台説明会&リアルタイム音声ガイド)

白衛軍 The White Guard

12月15日(日)  13:00開演  (受付時間 11:00~11:30)
12月17日(火)  14:00開演  (受付時間 12:00~12:30)

耳に障がいのあるお客様向け(手持ち型ポータブル字幕機の貸出)

白衛軍 The White Guard

12月14日(土)  13:00開演  (受付時間 12:30~公演終了)
12月17日(火)  14:00開演  (受付時間 13:30~公演終了)


詳細はこちら

>白衛軍 The White Guard