演劇公演関連ニュース

演劇『ピローマン』にて目や耳に障がいを持つお客様への観劇サポートを実施いたしました

1_kansapo_pirrowman.JPG

10月19日(土)、20日(日)、21日(月)、23日(水)の演劇『ピローマン』にて、目や耳に障がいを持つお客様向けのサポートを実施いたしました。

今回、視覚に障がいをお持ちの方向けのサポートには27名(そのうち、障がいをお持ちの方は13名)、聴覚に障がいをお持ちの方向けのサポートには9名(そのうち、障がいをお持ちの方は6名)、合計36名の方々にご参加いただきました。

『ピローマン』は、テンポの良い一人語りや会話の応酬で進む会話劇です。登場人物たちの台詞に凄惨な描写やユーモアが絶妙に交錯する本作を十分にお楽しみいただけるよう、実施したサポート内容およびサービスの詳細をご紹介いたします。


目に障がいをお持ちの方向けの観劇サポート(10月19日(土)、10月21日(月)、10月23日(水)開催)

事前舞台説明会

小劇場の舞台上に実際にお上がりいただき、解説をお聞きいただきました。

解説は、演劇研修所第5期修了の菊池夏野さんが担当しました。今回の舞台では、舞台の前後に客席を配置した「センターステージ」を採用していることや、舞台上に段差があり「取調室」のエリアと「子ども部屋」ほかのエリアに分かれていることを説明いたしました。また、スタッフが舞台の四方から手を叩き、音の聞こえ方をご体感いただきました。

★DSC_7736.JPG
解説役の菊池夏野さん。
舞台装置の形状や雰囲気、音の聞こえ方をご案内しました。


DSC_7733.JPG
今回の舞台では舞台前後に客席を置いた「センターステージ」を採用。段差の上側が「取調室」、下側が「子ども部屋」ほかで構成されています。

全体説明の後は、実際に舞台上を歩いてセットなどに触れていただく時間を設けました。取調室内の棚や拷問用の器具の配置、子ども部屋の前面に置かれたぬいぐるみについてもご説明しました。また、子ども部屋の雰囲気が左右で少し異なる点や、ぬいぐるみなどのおもちゃに感じられる不穏さなどもご紹介し、作品の独特な雰囲気をお伝えしました。

DSC_7740.JPG
取調室には机やライト、棚などの簡素な家具が設置されています。実際に触っていただき、質感などをご体感いただきました。
DSC_7761.JPG
取調室と子ども部屋などとの段差も触っていただきながら舞台の形状をお伝えしました。

小劇場内でのご説明の後、小劇場ホワイエにて、日本舞台美術家協会の製作した「触る模型」や小道具に実際に触れていただきながら、今回の公演の特徴についてご説明しました。

今回の触る模型は、物語が客席に滲み出すような一体感のある演出意図と舞台空間を汲んだフラットなデザインで、舞台上の段差などの形状を改めて手で触れていただくことで、会場の様子をより深くご理解いただけるようご案内しました。

また、今回の作品では小道具が重要な役割を果たしています。取調室で使用される紙の束や拷問用の器具、物語に登場する少女のぬいぐるみ、さらには鞭や槍などにも実際に手を触れていただき、質感や大きさを確認していただきました。舞台に登場する小道具について、形を実際に感じていただきたいという思いから、今回の説明会のためにスタッフが製作したものもございます。

DSC_7648.JPG
触る模型。今回の上演では、舞台前後に客席を置いた「センターステージ」と、舞台上の各エリアについて改めてご体感いただきました。
DSC_7790.JPG
拷問用の器具。今回の説明会用にスタッフが製作しました。
DSC_7808.JPG
ものがたりの中に出てくる十字架。大きさや人形をかけることができる形状についてご説明しました。
DSC_7816.JPG
劇中劇のパートで登場する少女の人形。


上演中のリアルタイム音声ガイド

DSC_4569.JPG
リアルタイム音声ガイド。シンプルな作りで操作も簡単です。

上演中には、リアルタイム音声ガイドのサービスをご提供しています。このサービスは、舞台上の照明や装置・小道具、俳優の動作について、別ブースからナレーターがリアルタイムで解説を行い、その解説を舞台の生音と同時にイヤホンでお聞きいただけるものです。片耳のみイヤホンをご装着いただくため、キャストの声を妨げることはありません。

解説のナレーターは彩木香里さんが担当し、台詞の多い会話劇のテンポを損なうことなく、会話以外の動作や情報について簡潔かつ丁寧に解説を行います。上演直前には作品の見どころ解説も配信され、公演をよりお楽しみいただけるよう工夫が施されています。

お客様の声

聴覚・触覚のいずれに対してもサポート頂けたことがとても大きかったです。とりわけ、開演直前の舞台上で舞台装置に触れることまで出来るとは思っていませんでした。緊張感のある現場でここまでご支援頂けるとはまさに感動しました。
また、アイテムや模型に触れることでよりイメージを膨らませることが出来たと思います。音声ガイドでは、ポイントを絞った適切なガイドが心地よかったです。

耳に障がいをお持ちの方向けの観劇サポート(10月20日(日)、10月23日(水)開催)

ポータブル字幕機の貸出

音の情報を文字でご覧いただけるポータブル字幕機をお貸し出しいたしました。今回の観劇サポートより、スマートフォンサイズの字幕機を導入し、アームスタンドを用いてクリップで座席に固定できるためハンズフリーで公演をお楽しみいただけます。画面の位置もお客様に合わせて調整可能となり、これまでよりもご負担の少ない形でご鑑賞いただけるようになりました。専用のアプリケーションを使用しており、自動でテキストが切り替わるため、お客様ご自身での操作は不要です。また、画面にフィルムを貼っているため、光漏れの心配もなく公演に集中していただけます。

表示される文字には色やフォントの工夫が施されています。役名ごとに色分けされているため、台詞の多い公演でもどの役の台詞かが一目で分かるほか、おどけたり苛立った台詞にはフォントを変えるなど、セリフのニュアンスも伝わるよう配慮しています。

IMG_1192-2.jpg
取り付け後の様子。アームスタンドはあらかじめスタッフが座席に取り付けます。
DSC_7893.jpg
実際の見え方。字幕機の位置はご調整が可能です。

手話通訳などの受付時のサポート

耳に障がいをお持ちのお客様向けの観劇サポートの受付では、事前に準備したご案内シートに加え、手話通訳者や要約筆記者を配置しています。チケットの受け渡しなどのご案内のほか、その場でのご質問にもお答えできる体制を整えております。

また、会場スタッフは視覚的にお客様をご案内できるよう、会話用のフリップを準備しています。新国立劇場の主催公演では、案内係が指差し会話表や筆談具、音声・文字変換アプリも準備しておりますので、お困りの際はどうぞお気軽にお近くの係員にお声がけください。

DSC_7889.JPG
手話通訳の様子。
DSC_7652.JPG
案内係が携帯している会話用のフリップ。





新国立劇場は、多くの方にとって舞台芸術や劇場が身近なものになりますよう、これからも様々な取り組みを続けてまいります。




今後の観劇サポート(演劇『テーバイ』『白衛軍 The White Guard』)

目に障がいのあるお客様向け(開演前舞台説明会&リアルタイム音声ガイド)

テーバイ

11月17日(日)  13:00開演  (受付時間 11:00~11:30)
11月19日(火)  14:00開演  (受付時間 12:00~12:30)

白衛軍 The White Guard

12月15日(日)  13:00開演  (受付時間 11:00~11:30)
12月17日(火)  14:00開演  (受付時間 12:00~12:30)

耳に障がいのあるお客様向け(手持ち型ポータブル字幕機の貸出)

テーバイ

11月16日(土)  13:00開演  (受付時間 12:30~公演終了)
11月19日(火)  14:00開演  (受付時間 13:30~公演終了)

白衛軍 The White Guard

12月14日(土)  13:00開演  (受付時間 12:30~公演終了)
12月17日(火)  14:00開演  (受付時間 13:30~公演終了)


詳細はこちら

>テーバイ

>白衛軍 The White Guard