【レポート】海外招聘講師マーティン・カッツ氏を迎え「公開マスタークラス」、「アフタヌーン・コンサート」を開催

11月、海外招聘講師マーティン・カッツ氏が指導のため来日し、新国立劇場オペラパレス・ホワイエにて「公開マスタークラス」を開催、後日「アフタヌーン・コンサート～My favorite Arias～」と題し、研修生たちがその成果をご披露しました。

カッツ氏はこれまでも度々新国立劇場オペラストゥディオに音楽指導で来日しています。
また、昨年のオペラストゥディオ公演「秋のリサイタル 2024」ではピアニストとして出演し、出演者との息の合った演奏で大好評をいただきました。

氏は「NYタイムズ紙」で"伴奏者のゴールドスタンダード"と称される巨匠ピアニストで、世界中で活躍する共演ピアニストとして、マリリン・ホーン、フレデリカ・フォン・シュターデ、キャスリーン・バトル、デヴィッド・ダニエルズ、カリタ・マッティラ、ホセ・カレーラスなど高名な歌手たちからの信頼も篤く、同時に後進の指導にも精力的にあたり、彼の薫陶を受けた音楽家が世界各国で活躍しています。

今回の「公開マスタークラス」では、お客様を前に普段のレッスンとは異なる雰囲気の中、終始明るくユーモアを交えた指導がなされ、プロフェッショナルとして表現を精緻に磨き上げるための非常に実践的なプロセスが示されました。

「アフタヌーン・コンサート」では、各アリアの簡単な説明の後、カッツ氏のピアノ演奏で歌唱をご披露しました。コンサート形式ながら、演技を交えた演奏で多くの皆様にお楽しみいただきました。


◆「公開マスタークラス」曲目

11月23日　新国立劇場オペラパレス・ホワイエ

１.受講者：長倉 駿（第28期・テノール）　受講曲："Un'aura amorosa" from Così fan tutte (W.A.Mozart)

２.受講者：吉原未来（第28期・メゾソプラノ）　受講曲："Va! Laisse couler mes larmes" from Werther (J. Massenet)

３.受講者：上田 駆（第28期・バリトン）　受講曲："Questo amor, vergogna mia" from Edgar (G.Puccini)

４.受講者：後藤真菜美（第26期・メゾソプラノ）　受講曲："All'afflitto è dolce il pianto" from Roberto Devereux (G. Donizetti)

◆「アフタヌーン・コンサート」プログラム
11月28日　新国立劇場オペラパレス・ホワイエ

1.『ドン・セバスティアーノ』より"O Lisbona, alfin ti miro"（G.ドニゼッティ作曲）　　
演奏：上田 駆

2.『連隊の娘』より"C'en est donc fait〜Salut à la France!"（G.ドニゼッティ作曲）
演奏：谷 菜々子

3.『愛の妙薬』より"Una furtiva lagrima"（G.ドニゼッティ作曲） 　
演奏：長倉 駿

4.『ジュリオ・チェーザレ』より"E pur così...Piangerò la sorte mia"（G.F.ヘンデル作曲）
演奏：有吉琴美

5.『フィガロの結婚』より"Hai già vinta la causa...Vedrò mentr'io sospiro"（W.A.モーツァルト作曲）
演奏：小野田佳祐

6.『アンナ・ボレーナ』より"Piangete voi？〜Al dolce guidami castel natio"（G.ドニゼッティ作曲）
演奏：齋藤菜々子

7.『清教徒』より"Or dove fuggo mai?...Ah! per sempre io ti perdei"（V.ベッリーニ作曲）
演奏：中尾奎五

8.『ユグノー教徒』より"O beau pays de la Touraine"（G.マイアベーア作曲）
演奏：渡邊美沙季

9.『サッフォー』より"Où suis-je?... O ma lyre immortelle"（C.グノー作曲）
演奏：後藤真菜美

10.『シャモニーのリンダ』より"Ah tardai troppo...O luce di quest'anima"（G.ドニゼッティ作曲）
演奏：島袋萌香

11.『ウェルテル』より" Air des lettres"（J.マスネ作曲）
演奏：吉原未来

12.『ロメオとジュリエット』より"L'amour, l'amour...Ah lève-toi, soleil"（C.グノー作曲）
演奏：矢澤 遼

13.『アルジェのイタリア女』より"Cruda sorte! Amor tiranno!"（G.ロッシーニ作曲）
演奏：牧羽裕子

公開マスタークラスの様子　

アフタヌーン・コンサート後記念撮影

マーティン・カッツ　Martin KATZ　

共演ピアニスト／新国立劇場オペラ研修所 招聘講師（音楽指導）

ニューヨークタイムズ紙で「伴奏者のゴールド・スタンダード」と称されるなど、45年のキャリアにおいて世界中で、リサイタルやレコーディングで高名な歌手たちと共演してきた。

マリリン・ホーン、フレデリカ・フォン・シュターデ、キャスリーン・バトル、デヴィッド・ダニエルズ、カリタ・マッティラ、ホセ・カレーラスと定期的に共演し、RCA、CBS、BMG、EMI、デッカのレーベルでレコーディングを行っているほか、サンフランシスコのメローラ・プログラム、BBC、NHKでもオペラを指揮。

また、彼の校訂によるバロックおよびベルカント・オペラのエディションは、オタワ、ヒューストン・オペラ、メトロポリタン歌劇場で上演されている。

ミシガン大学では30 年以上にわたり、歌手やピアニストのヴォーカル・レパートリーを指導しており、彼の生徒たちは世界中で活躍している。

著書として「The Complete Collaborator」がOxford University Pressより出版。


こうした様々な研鑽の成果をぜひ劇場でもご覧ください。