オペラ研修所ニュース
オペラ研修所第28期 田中潤の逝去にあたって
新国立劇場オペラストゥディオ(オペラ研修所)第28期の田中潤(バリトン)が
2025年11月8日、27歳で逝去いたしました。
今月の「秋のリサイタル 2025」を経て、来年2月の春公演『ウィンザーの陽気な女房たち』にも出演を予定しておりました。
突然の訃報に接し、劇場関係者一同が言葉に尽くせぬ深い悲しみに包まれております。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
2025年11月17日 公益財団法人新国立劇場運営財団
いつも新国立劇場オペラストゥディオ(オペラ研修所)を応援してくださる皆様へ
オペラ研修所長の佐藤正浩です。
私たちの大事な仲間であり、一人のアーティストとして将来を嘱望されていた田中潤君が、2025年11月8日に突然我々のもとを離れ旅立ちました。
田中君はこのオペラストゥディオに、4回目の受験で合格した大変な努力家でした。ここのメンバーになれたことをとても喜び、同期や先輩の皆さんとともに切磋琢磨しながら、将来は世界に羽ばたいていくことを夢見てレッスンに励む日々でした。
今年4月にオペラストゥディオに入所してからは、「サマー・リサイタル2025」や「秋のリサイタル2025」に出演したほか、来年2月の春公演『ウィンザーの陽気な女房たち』でカーユス博士役を務めることが決まっていました。
昨年のオペラストゥディオ受験の際に提出した願書に、彼は次のような抱負を記しました。
私は、オペラが内包する多面的な芸術要素をお客様に向け鮮やかに届けることができる、
そのようなオペラ歌手になりたいと考えます。
このように誇り高い目標を掲げ、未来に向けて歩んでいた若者が急な病により道半ばで夭折せねばならないことを、私たちは受け止めきれずにおります。これまで彼を応援してくださったお客様、そしてご家族の皆様に心から感謝を申し上げるとともに、彼が「芸術の神の僕(しもべ)」として皆様や私たちの心に永遠に生き続けるよう、願わずにはいられません。
彼が安らかに眠っていることを信じます。どうもありがとうございました。


『ルクレツィア』アルンテ役(写真中央)

『ドン・ジョヴァンニ』より二重唱