オペラ研修所ニュース

【稽古場便り③】2025春公演『フィガロの結婚』永尾渓一郎


2025春公演『フィガロの結婚』(2/22~24)では、研修生たちが役どころに正面から向き合い、全力で取り組んだ成果をご披露します。3年次の第25期は、この公演を経てプロの世界に飛び立ちます。


公演に向けて本格的にリハーサルを重ねている第25期のコメントを連載でご紹介します。


今回の登場は、永尾渓一郎(テノール)です。

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永尾 渓一郎 NAGAO Keiichiro(テノール)

広島県出身。高校2年時に鑑賞したブロードウェイ・ミュージカルに感銘を受け、声楽を学び始める。大学在学中にオペラの魅力に目覚め、歌手を志す。愛知県立芸術大学音楽学部音楽科声楽専攻卒業同大学院音楽研究科博士前期課程声楽領域修了。これまでに下松由夏、岡嵜智恵子、Marcella Reale、初鹿野剛、二神二朗の各氏に師事。『領事』魔術師、『コジ・ファン・トゥッテ』フェルランド、『カルメル会修道女の対話』司祭で出演。



<研修生からのメッセージ>

日本社会の混乱、世界の各地の戦乱と『まさか』の新ニュースを耳にする事が増えるこの数年。何もできない自分に歯がゆさを感じながらも「今の自分は研修生。社会に働きかけるのは今じゃない。」と言い聞かせて学んでいました。そんな中で出会ったオペラが『フィガロの結婚』です。

当初は『庶民と貴族』または『男と女』という人々の違いを風刺した『過去の時代、他所の国の作品』と感じていましたが、演出家の先生のお話を伺い、仲間と共に稽古を重ねる内にその感覚は徐々に変わっていきました。この作品のラストシーンに描かれる『謝罪』と『赦し』こそまさに現代社会、世界全体に必要とされる智慧そのものであり、それを世界に伝えていく誇りある使命、人間の魂の尊厳のために「まさに今働いている」と感じています。

私が演じるバジリオ・クルツィオは『評価と資本』の為に動く役柄であり『愛と意志』を動機として動く主人公達の対極に位置する存在です。ストーリー全体を輝かせる為の重要なピースとして、強烈な人間の『アク』を絞り出していきますので、一笑いして頂ければ嬉しく思います。

この3年間、様々な作品に触れてきました。指先1つであらゆる物が動かせる時代に、全身で歌って演技できる環境を提供して頂いた事、感謝の気持で一杯です。『一音入魂』の心で皆様に出会いたいと思います。

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▲リハーサル室より


オペラ研修所公演・舞台写真

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2022年7月 
新国立劇場オペラ研修所『領事』 魔術師役(写真中央)
写真撮影:平田真璃
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2023年2月 
新国立劇場オペラ研修所『コジ・ファン・トゥッテ
フェルランド役(写真左)
写真撮影:三原文夫

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2024年3月 
新国立劇場オペラ研修所『カルメル会修道女の対話
司祭役(写真中央左)
写真撮影:寺司正彦

新国立劇場オペラストゥディオ(オペラ研修所) 2025春公演『フィガロの結婚』


会  場:新国立劇場・中劇場 

公演日時:2025年2月22日(土)14:00、23日(日・祝)14:00 、24日(月・休)14:00

チケット料金(税込)全席指定:4,950円 Z席:1,650円