オペラ研修所ニュース
井上大聞氏(第21期修了)、「水野咲子オペラ歌手奨励金」受領者第1号に
昨年11月、井上大聞氏(バリトン)は、イタリア「ベッペ・デ・トマージ国際声楽コンクール」において、第1位およびバロック声楽賞を受賞されました。
これを称え、「水野咲子オペラ歌手奨励金」の最初の受領者となることが決定し、2月5日、新国立劇場内で授与式が行われました。
授与式後記念撮影 水野杏一氏(写真左から3番目)、井上大聞氏(写真左から4番目)
この制度は、昨年2月、当劇場賛助会員の水野杏一氏よりご寄附を原資に開始されました。オペラ研修所出身の若手オペラ歌手が世界を舞台に活躍することを願っておられた水野氏夫人の故・水野咲子様のご遺志に基づき、研修所長が認める国際的な声楽コンクールにおいて優秀な成績を上げた者に対して、これを称え、更なる研鑽と活躍を期待して、奨励金を授与する制度です。
授与式に出席した水野杏一氏は、井上氏の成果を称え、祝福すると共に、次の三つの期待の言葉を寄せられました。
①「今後、欧米の権威ある劇場の舞台に立ち、一流の指揮者、演出家の下、タイトルロールやそれに匹敵する役を担っていってほしい」
②「オペラ歌手は身体全体が楽器だと言われる。実は、身体と心は密接に関与している。強靭なメンタルを作り上げてほしい」
③「オペラ歌手は、素晴らしい声によって生の人間の素晴らしさを伝え、聴衆に感動を与えている。その原動力は、歌唱技術ばかりではなくオペラ歌手の心、人間性である。これからもオペラファンのみならず、全国民に感動を届けてほしい」
水野氏は最後に「今後もより多くの研修所出身のオペラ歌手が世界に羽ばたいていくよう、井上さんが世界で活躍することを願っています」と井上氏を激励の言葉を贈られました。
井上氏は、「受領者第1号に選ばれ、感謝の気持ちに堪えません。コンクールでの受賞は研修所で学び、更なる研鑽を続けてきた結果に他なりません。今後の飛躍を目指すために、資金的な援助は大変ありがたいと思います。より高い目標を持ち、更に励んで参ります」と挨拶されました。
井上氏は、令和3年度新進芸術家海外研修制度研修員として2年間、イタリア・ボローニャにて研鑽を積み、去る1月29日(月)に、東京オペラシティコンサートホールにて開催された「新進芸術家海外研修制度の成果 明日を担う音楽家による特別演奏会」に出演、その高い成果を披露しました。
今後、イタリア・ボローニャを拠点に研鑽を積みながら活躍の場を広げていくとのことです。
なお、今回の授与に先立ち、本制度の対象者と授与金額が以下のとおり変更となりました。
1.対象者について
変更前 新国立劇場オペラ研修所研修生及び同研修所修了後3年程度までの修了者
変更後 新国立劇場オペラ研修所研修生及び同研修所修了後5年程度までの修了者
2.授与金額について
変更前 当該成果1回につき30万円
変更後 当該成果1回につき50万円