オペラ研修所ニュース
指揮・星出豊氏インタビュー① オペラ『領事』鑑賞術 partⅠ
オペラの第一義は音楽じゃない⁈1974年、作曲家メノッティ氏との衝撃の出会い
メノッティ氏に初めて出会ったのは1974年のことでした。その時の彼との会話はとても印象深いものでした。
出会って早々メノッティ氏は「オペラって何だと思う?」
「皆オペラは音楽だと思っている。でも実は違うんだよ」
続けて「『蝶々夫人』は誰の曲?」
「プッチーニは曲を書いたけれど、
「だから僕の作品もそうだけど、音楽を印象づけるために、
▲1974年藤原歌劇団公演時来日したメノッティ氏とともに
メノッティ氏が先に来日していて、アメリカ人の指揮者はまだ来日しておらず、指揮者が到着するまでの間、僕は副指揮としてリハーサルをし、演奏のアシストをしていました。
それでメノッティ氏にアドバイスを求めたところ、彼は「僕は台本を書いて、今回は演出のために来日している。だからこの作品は君が好きなように演奏してもらいたい。日本でこのオペラを上演してもらう機会を得て、この作品をどういう風に君が料理してくれるのかが楽しみなんだ。それが芸術だと思う。僕が自分の作品を指揮してしまったら、みんな僕の真似をするだろ?そしたら僕の音楽は発展性がなくなってしまう」と言うんです。
言われてみるとなるほどと思いました。これがメノッティ氏のオペラ観なんですね。
それがとても印象的でした。