オペラ公演関連ニュース

2023/2024シーズンオペラ「トリスタンとイゾルデ」トリスタン役 出演者変更のお知らせ

新国立劇場2023/2024シーズンオペラ『トリスタンとイゾルデ』公演におきまして、トリスタン役に出演を予定しておりましたトルステン・ケールは急病により出演できなくなりました。代わりまして、ゾルターン・ニャリが出演いたします。



『トリスタンとイゾルデ』トリスタン役の変更について

『トリスタンとイゾルデ』でトリスタンを歌う予定だったケール氏がキャンセルとなり、今、脂の乗ったヘルデンテノールとして名声を高めつつあるニャリ氏に変更となります。
下記のプロフィールでもお分かりの通り、彼が他の歌手からも際立って異なる点は、キャリアを俳優として開始し活躍していたことです。
『トリスタンとイゾルデ』の前奏曲でも有名な最初のテーマは、和声的に解決しない和音として、20世紀の無調の始まりとしてよく語られていますが、ワーグナーが実際に描こうと企図したのは、そうした後世から見た音楽史上の変化というよりも、ブランゲーネが毒薬と取り替えてトリスタンとイゾルテに媚薬を与えた後、二人がまず目眩しにあったようにかすかに向こうに誰かがいることを感じ、やがて互いの存在をしっかり確かめ、ひしと抱き合うまでの"魔法に憑かれた二人"を音楽による絶妙な心理描写にまで高めたということにほかなりません。
このような、劇的音楽に満ちた『トリスタンとイゾルデ』が、躍進中、そして情熱的なニャリとキンチャ両氏によって歌われることに、どうか皆様ご期待ください。

オペラ芸術監督 大野和士




ゾルターン・ニャリ (Zoltán NYÁRI)<テノール>

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ブダペスト出身。ブダペスト演劇映画大学で演劇の学位を取得し俳優として活動した後、ブダペストオペレッタ劇場に所属してミュージカルやオペレッタの主要な役に数多く出演する。その後オペラへ転向、ハンガリー国立歌劇場専属歌手として『エウゲニ・オネーギン』レンスキー、『ルサルカ』王子、『ホフマン物語』ホフマン、『トスカ』カヴァラドッシ、『ラ・ボエーム』ロドルフォ、『椿姫』アルフレードなどに出演。さらにザクセン州立歌劇場『カルメン』ドン・ホセ、フランクフルト歌劇場『ルサルカ』王子などに出演を重ね、グラーツ歌劇場『死の都』パウルの成功で国際的な注目を集める。近年の出演に、ハンガリー国立歌劇場『ウェルテル』タイトルロール、『ルサルカ』王子、『さまよえるオランダ人』エリック、『ジークフリート』『神々の黄昏』ジークフリート、グラーツ歌劇場『トリスタンとイゾルデ』トリスタン、メトロポリタン歌劇場『ルサルカ』王子、デンマーク王立歌劇場『ホフマン物語』ホフマン、オルデンブルク歌劇場「ニーベルングの指環」ツィクルスのジークムント/ジークフリート、オスナブリュック歌劇場『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ヴァルター・フォン・シュトルツィング、ハーゲン歌劇場、ハイデンハイム歌劇場、ベルン歌劇場『トリスタンとイゾルデ』トリスタンなど。昨年はデュッセルドルフ交響楽団『トリスタンとイゾルデ』トリスタンにも出演。力強い声と内的な表現力をもつワーグナー歌手として国際的評価を高めている。新国立劇場初登場。