オペラ公演関連ニュース
作曲家 西村朗氏ご逝去の報を受けて
作曲家の西村朗氏が9月7日逝去されました。
西村朗氏は日本を代表する現代音楽の作曲家として活躍され、西洋の現代作曲技法をもとに、アジアの伝統音楽、宗教、美学、宇宙観などに強い関心を抱き、そこから導いたヘテロフォニー(同一、類似の旋律が重なって進行する音楽)などのコンセプトにより、多数の作品を発表されました。また、NHK「N響アワー」やNHK-FM「現代の音楽」などでの知的でウィットに富んだ解説でも広く親しまれていました。
新国立劇場では大野和士芸術監督が就任した2018/2019シーズンに西村氏に新作オペラを委嘱、2019年2月に世界初演を迎えたオペラ『紫苑物語』(石川淳原作、佐々木幹朗台本)は世界各地のメディアに取り上げられ、インターナショナル・オペラアワードの新作部門にノミネートされる快挙を遂げました。『紫苑物語』は芸術を巡る人生探求の物語であり、西村氏ならではのアジア的な美学が西洋のオペラに結実した快作となって、圧倒的熱量で迎えられ、オペラの力を現代に鮮烈に提示する画期的作品となりました。
『紫苑物語』創作という大きな挑戦にあたり西村氏が示された情熱を思うと、あまりにも早い突然の訃報が残念でなりません。
ここに謹んで西村朗氏のご功績に敬意を表すとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
大野和士芸術監督からのメッセージ
親愛なる西村朗様
新国立劇場で世界初演させていただいた、西村さんの『紫苑物語』は、
私たちの中で、永遠に生き続けていく財産です。
そのオペラ誕生の過程で、何年かに渡って、 お酒を酌み交わしながら、時代の設定、
あらすじの構成などについて話し合ううちに、西村さんの、 さまざまな時代への深い見識、
現代社会への鋭い視線、同時に人間に対する温かい気持ちを感じ、 オペラ作曲の分野でも
後世に残る作品を作られることと確信いたしました。
どうか安らかに休息されますよう心よりお祈り申し上げます。
大野和士
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