オペラ公演関連ニュース

オペラ『椿姫』開幕に寄せて(大野和士芸術監督メッセージ)

素晴らしい音楽家、アンドリー・ユルケヴィチさんと私は古くからの友人です。

彼はいつも静かな佇まいながら、ひとたび音楽の話になると、その目は子供のように輝き、自然と情熱が内面から伝わってきます。

その彼が、今回、祖国ウクライナの深刻な状況にも拘らず、新国立劇場の『椿姫』公演のために来日してくれたことに、心からの感謝を捧げたいと思います。

彼のご家族はウクライナから少し離れたモルドバ共和国にいらっしゃるので、毎日連絡をとりながらも、一旦劇場に入ればリハーサルに集中されている彼の姿に、私たちもどんなに勇気づけられたことでしょうか。

その姿に、劇場のすべての人々も彼の思いを受け止め、ヴェルディの音楽を通して、芸術の力で困難な状況に陥っているすべての方々に心からの祈りを捧げたいと誓い合いました。

この気持ちを劇場にお越しの皆様方と是非分かち合いたいと思っております。



新国立劇場オペラ芸術監督

大野和士