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「吉田都セレクション」『こうもり』より「グラン・カフェ」主役ダンサーインタビュー

「吉田都セレクション」『こうもり』より「グラン・カフェ」に出演するダンサー4名のインタビュー記事です。ぜひご一読ください。(新国立劇場会報誌「ジ・アトレ」2022年1月号より転載)

小野絢子 【ベラ役 2/19(土)・2/23(水・祝)】 
~「続きを見たい」と思っていただけるよう演じたい ~

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 『こうもり』の全幕はすでに2回(2012年、15年)経験しています。今回は「グラン・カフェ」のシーンの抜粋ですが、前後のストーリーをもお客様に感じていただき、「続きが見たい」と思っていただけるように演じたいと思います。

 ベラ役は華やかで、常に大人の女性でなければいけません。その色気をどうやって出したらいいのか、これまでの公演では先輩方を見ながら試行錯誤しました。ちょっとした見せ方、脚の使い方、身体の使い方まで、各々緻密に工夫していらっしゃる姿に、さまざまな気づきをいただきました。

 どのバレエ作品でもそうですが、特にプティ作品の主役は、自分がどうしたら魅力的に見えるかをより理解する必要があると感じます。私は体格的にはプティ作品に適しているとは言えませんが、だからこそプラスアルファでさらに見せ方を研究しなければなりません。

 派手なテクニックが出てくる作品ではありませんが、独特な表現力が求められます。特に目線の置き方、そして脚が台詞のように語らないといけません。

 バレエは世界共通で通じ合えるものですが、一方で作品には民族性や文化が色濃く現れると思っています。そこにどう自分を持っていくのか、プティ作品の世界を創り上げるため、最適の道を選んでいきたいと思います。




福岡雄大 【ヨハン役 2/19(土)・2/23(水・祝)】
~プティ作品の男性はダンディ 全幕を知るからこそ演じがいがある~

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 『こうもり』を前回踊ったのは2015年ですから、久しぶりの上演です。「グラン・カフェ」はすごく好きな場面ですし、そこだけ抜き取ってもとても面白くできています。2010年にオペラと合同の「ニューイヤーオペラパレス ガラ」で上演したときはコール・ド・バレエを踊ったのもよい思い出ですし、湯川麻美子さんの引退公演でパートナーを務め、麻美子さんの特別な節目を祝えたことが一番印象に残っています。

 ヨハンのソロはすごく難しいのですが、楽しんで踊りたいと思っています。2015年の上演では僕はウルリックとして小野さんと共演しました。ヨハンとして小野さんと組むのは今回初めてですから、2人の駆け引きを見せられたらいいですね。ヨハンを演じるのにちょうどいい年齢になったので、役にすんなり入れるのではないかと思いますし、とても楽しみにしています。

 プティさんの作品は『こうもり』と『コッペリア』しか踊ったことはないですが、この2作品について言えば、男性はダンディに、女性はセクシーに見えるようにできていると思います。男性は動きの中に紳士的で色気のある振付が入れられていますし、キャラクターの構成も全幕を踊って知っているからこそ、演じがいもあります。引き締まった舞台になるようにしっかり踊りたいです。






木村優里 【ベラ役 2/20(日)】
~ベラ役に求められる 圧倒的な存在感と神秘的な魅力~

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 2021年5月にプティさんの『コッペリア』でスワニルダを演じました。初役でしたので全てがゼロからのスタートで不安がいっぱいでしたが、ボニーノさんにリモートでご指導いただいたときに背中を押していただけた気がして、少し自信を持つことができました。自分が思っているよりも表情や動きを大きく見せるようにと言われたことも新鮮に感じましたし、古典とはまた違うエスプリが効いたお洒落な身のこなしが印象に残っています。インからアウトにする動きや、オフバランスなど、古典作品とは違う技術的な難しさもありました。表現・お芝居の部分では、コッペリウスの山本隆之さんと初めて一緒に踊らせていただき、すごく勉強になりました。

 『こうもり』のベラも初役です。難しい役だと覚悟しています。今は求められていることを整理している段階です。気持ちが離れつつある夫を、自身の魅力で再び虜にしなければならないという状況であり、「グラン・カフェ」のシーンでは、圧倒的な存在感と女性の色気、神秘的な魅力が求められると思っています。湯川麻美子さんが引退公演で踊られた舞台の印象が強く、憧れの麻美子さんから直接ご指導いただける機会があることにも感謝しています。

 吉田監督からは毎回細かく指導を受けていますが、監督の望むことが「グラン・カフェ」の1 曲の中に詰まっているので、今まで以上に自分の意識が求められているのを感じます。

 「グラン・カフェ」は抜粋ですが、全幕の物語が見えてくるような踊り、表現ができるように頑張ります。


井澤 駿 【ヨハン役 2/20(日)】
~大人の色気が求められる役どころ 深い表現をお見せしたい~

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 『こうもり』のヨハンを初めて踊ったのは2015年です。当時はダンサーとしての経験も浅く、実年齢もまだ22歳でしたので、子どもが5人もいる大人の、ダンディな男性を演じることに苦労しました。振付指導のルイジ・ボニーノさんからは手とり足とり細かく教えていただきました。そのこと自体もとても思い出深く、いつか再演されたらいいなと思っていたので、今回ヨハンを再び演じることができ、とても嬉しいです。今は年齢的にも役に少し近づいてきましたので、ある程度ナチュラルに演じられるといいですね。

 今回抜粋で上演する「グラン・カフェ」はとても盛り上がるシーンです。全幕を通して演じるのではなく、このシーンだけで作品の世界をお客様にお伝えする難しさはありますが、ヨハン自身も解放されて楽しんでいる場面ですので、僕もシュトラウスの音楽に乗って楽しく踊りたいと思います。スネアドラムの音が聞こえてくると自然とウキウキした気持ちになりますし、実際ヨハンの振りの中には「ドラムをばちで叩くイメージで」と言われた動きも入っています。

 大人の色気が求められる役どころですし、恥ずかしいと思ったら絶対に演技はできませんので、羞恥心はすべて取り払って、深い表現をお見せできればと思っています。