新国立劇場からのお知らせ

理事長及び芸術監督から皆様へのメッセージ

新国立劇場では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、政府要請を受けて2月27日からすべての主催公演、イベントを中止しております。ご来場を予定されていたお客様には大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。私どもにとりましても、今回の主催公演等の中止は苦渋の決断でございました。

現在、私どもは、公演再開に向けて日々リハーサル等を行うとともに、安心して皆様にご観劇いただけるよう、事態を見守りつつ、さまざまな感染予防対策の準備を進めております。

ここに、各芸術監督から皆様へのメッセージをお伝えするとともに、1日でも早く、お客様を再び新国立劇場にお迎えできる日がくることを芸術監督共々願っております。

公益財団法人新国立劇場運営財団

理事長 尾﨑元規

今まで経験したことがないような状況の中、新国立劇場は『コジ・ファン・トゥッテ』の公演中止という残念な決断を下さざるを得ませんでした。現在、新型コロナウイルス感染拡大の防止に向けて最大限の努力をし、状況を注視しております。そして、一日も早く観客の皆様に安心してご鑑賞いただけるよう祈りながら、今後の演目の開催に向けリハーサルを進めております。今シーズン最後の出し物に至るまで、出演者とも頻繁なコンタクトを取り、万全を尽くして公演再開の準備をしております。

先行きの見えない日々の中、公演中止の間も新国を応援してくださる方々と共にありたいという願いから、ささやかながらオペラの喜びを皆様にお届けする企画を進めております。

現在進行中の『ジュリオ・チェーザレ』のリハーサルの模様を、新国立劇場ウェブサイトなどで随時発信します。指揮者アレッサンドリーニ氏、演出家ペリー氏と私とのトークの配信も考えています。また今後、歌手の皆さんを招き、私がピアノを弾きながら作品の魅力をご紹介する''玉手箱''の配信も計画し、皆様に劇場の現在の様子を少しでもご紹介できたらと思っております。

皆様と再び劇場にてお会いできる日を期して、新国立劇場としてできる限りの使命を果たして参りますので、皆様方のご理解を賜れば幸甚です。


新国立劇場 オペラ芸術監督

大野和士

このたびの新型コロナウイルスに罹患された皆様、感染拡大により生活に影響を受けられている皆様、関係者の方々に、心よりお見舞いを申し上げます。

新国立劇場バレエ団公演『マノン』も3回上演した後、2公演は中止となり、公演を楽しみにされていた皆様には、大変なご迷惑をお掛けして誠に申し訳ございません。また、公演に向けて全身全霊で日々稽古に励んでいたダンサーたちやスタッフの心情を思いますと言葉に言い表すことのできない無念を感じます。

しかしながら、このコロナウイルスの脅威は人類が初めて直面するような事態となっており、世界中の医療システムや経済を始めあらゆる面に深刻な影響を与えています。

舞台芸術という面から見ますと、この状況は人類が長い時を重ねて育み発展させてきた劇場文化への脅威ともいえます。つまりその場その時にしか起こらない生の舞台を経験するために、人々が同じ空間に集い、同じ時間を共有し、皆で深い喜びや感動を分かち合うという劇場文化の有り方、劇場文化存続の根本にかかわる危機ともいえるのではないかと思います。

また個人的なことにはなりますが、21年間新国立劇場バレエ団とともに当劇場の舞台にかかわり、私にとってはこのシーズンがその締めくくりとなる大きな人生の節目でもあります。昨今は芸術監督として残された時間を渾身の力を振り絞って、私がバレエという素晴らしい芸術から学んだことを伝えるべく、励んでいる日々でもありました。

一日も早く事態が収束し、再び平常が戻り、皆様と劇場でお目にかかる日々が戻ることを心より祈願します。皆様におかれましても、どうぞご自愛の上お過ごしくださいませ。

最後になりましたが、新型コロナウイルスのため、日夜最前線で対応されている医療関係の皆様、政府の皆様、行政関係の皆様に心からの敬意を表します。


新国立劇場 舞踊芸術監督
大原永子

この度の新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る政府からの要請を受け、新国立劇場演劇部門では、ポーランド国立劇場との共催公演『海からの手紙』の中止、こつこつプロジェクト・サードステージの発表試演会の縮小を行いました。それぞれを楽しみにして下さった方々には残念な結果となってしまい、誠に申し訳ございませんでした。

また、それぞれの企画に関わってくださっていたすべてのスタッフ・キャストの皆さまには、お詫びすると共に今回のご理解とご協力に改めて感謝申し上げます。

新国立劇場演劇は、現在、フル・オーディション企画第二弾「反応工程」の初日に向けて準備を進めております。もちろん、最終的には、日々の状況や政府からの要請を鑑みてにはなりますが、現時点では予定通りの4月9日の初日を目指し稽古をしております。

コロナウイルスの影響により、日本中、世界中の方々が健康面、精神面、経済面などで非常に苦しい思いをされており、未知のウイルスを相手に明確な対策が見えないことも日々の不安を煽りますが、この事態が少しでも快方と改善に向かい、大切な日常生活が戻ってくることを祈っております。

また舞台に関わる一個人としての思いですが、新国立劇場のみならず、日本中、世界中のあらゆる舞台公演もまた日常を取り戻し、観客の皆様に安心して舞台を楽しんで頂ける日が1日でも早く戻ってくるよう願っております。

新国立劇場 演劇芸術監督
小川絵梨子