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bunkacho_geijutsusai_symbolmark.gif令和2年度(第75回)文化庁芸術祭協賛公演
文化庁委託事業「令和2年度戦略的芸術文化創造推進事業」

2020/2021シーズン
オペラ『アルマゲドンの夢』/藤倉大
A Dream of Armageddon/FUJIKURA Dai〈英語上演/日本語及び英語字幕付〉
全9場
オペラパレス

  • 予定上演時間:1時間40分(全1幕)

現在の資料においては100分程度(休憩なし)を想定をしております。
今後、大幅に変更される可能性もございます。あらかじめ、ご了承ください。

なお、本公演は休憩がございません。
開演時間に遅れますとご入場いただけない場合がございますので、余裕をもってご来場ください。(2020年10月5日現在)



この世界は夢か現実か?新国立劇場が世界へ発信する衝撃の新作

『紫苑物語』に続く日本人作曲家への創作委嘱シリーズの第2弾。ロンドンを拠点に世界中のオーケストラや歌劇場から委嘱を受けて旺盛な作曲活動を展開し、音楽の新時代を切り拓いている作曲家・藤倉大の新作オペラを上演します。藤倉がオペラを手がけるのは3作目ながら、日本では『ソラリス』が演奏会形式で上演されたのみで、内外から注目を集めることは必至です。

藤倉が選んだ題材は、20世紀初頭に書かれたH.G.ウェルズのSF短編『アルマゲドンの夢』。藤倉と長年共同作業をしているハリー・ロスが台本(英語)を手がけ、藤倉らしい大胆な発想でオペラ化、時空を自在に行き来しながら、忍び寄る全体主義、そして科学技術の発展がもたらす大量殺戮への不安を鋭くも描いた原作を脚色し、現代に生きる我々のそばにある脅威をスリリングに描き出します。

演出は、2018年ザルツブルク音楽祭『魔笛』で世界の話題をさらったアメリカの女性演出家リディア・シュタイアー。指揮は大野和士芸術監督自らがあたります。国内外のメディアから世界に通用する普遍的な力を絶賛された『紫苑物語』に続き、新国立劇場から、日本人作曲家のオペラを世界へ向けて発信します。世界的話題作の誕生は、同時代に生きる全てのオペラファン、音楽ファン、演劇ファン必見です。


後援:ブリティッシュ・カウンシル(日英交流年「UK in Japan」参加イベント)   
UK in Japan - GREAT for Partnership_blue_.png

協力:ドイツ連邦共和国大使館、ドイツ文化センター


新型コロナウイルス感染症拡大予防対策を講じた新時代の生活様式を考慮した演出により上演いたします。
招聘スタッフ・キャストにつきましては、 出入国制限の状況により変更となる場合がございます。

ご来場にあたってのお願い(必ずお読みください)

ニュース

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2020年11月10日
特別配信版 オペラトーク『アルマゲドンの夢』詳細決定のお知らせ(11月10日更新)
2020年11月6日
『世界最終戦争の夢』サイン本プレゼント企画のお知らせ
2020年11月2日
ブリティッシュ・カウンシル主催『アルマゲドンの夢』特別トーク:大野和士×藤倉大×ハリー・ロス
2020年10月30日
オペラ『アルマゲドンの夢』演出 リディア・シュタイアー インタビュー
2021年2月22

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動画

新国立劇場『アルマゲドンの夢』より(2020年11月)

『アルマゲドンの夢』台本 ハリー・ロスメッセージ

『アルマゲドンの夢』演出 リディア・シュタイアーメッセージ

『アルマゲドンの夢』作曲 藤倉大メッセージ

『アルマゲドンの夢』指揮 大野和士メッセージ

ブリティッシュ・カウンシル主催『アルマゲドンの夢』特別トーク:大野和士 × 藤倉大 × ハリー・ロス

『アルマゲドンの夢』藤倉大×大野和士対談(後編)

『アルマゲドンの夢』藤倉大×大野和士対談(前編)

『アルマゲドンの夢』作曲 藤倉 大 メッセージ

オンラインイベント

特別配信版 オペラトーク『アルマゲドンの夢』

公演日程・チケット

公演日程

2020年11月15日(日)14:00 オペラパレス
2020年11月18日(水)19:00 オペラパレス
2020年11月21日(土)14:00 オペラパレス
2020年11月23日(月・祝)14:00 オペラパレス
  • 予定上演時間:1時間40分(全1幕)
*後日ご案内いたします。正式な上演時間は開幕直前の表示をご確認ください。
*現在の資料においては、100分程度(休憩なし)を想定をしております。今後、大幅に変更される可能性もございますので、あらかじめご了承ください。なお、本公演は休憩がございません。開演時間に遅れますとご入場いただけない場合がございますので、余裕をもってご来場ください。(2020年10月5日現在)
ロビー開場は開演60分前、客席開場は開演45分前です。開演後のご入場は制限させていただきます。
*新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、託児サービス、バックステージツアーは当面休止させていただきます。
新型コロナウイルス感染拡大予防を目的とした混雑緩和のため、分散来場にご協力ください。
お席の階によって、下記時間帯にご来場されることをおすすめいたします。
  • 2,3,4階のお客様:開演 30分前まで
  • 1階のお客様:開演30分前~ 開演15分前 まで

チケット料金(税込)

席種S席A席B席C席D席
料金(税込) 22,000円 16,500円 11,000円 6,600円 3,300円

クラブ・ジ・アトレ会員の方は、公演楽日まで上記料金の10%OFFでお求めいただけます。

Z席 1,650円(税込)

前売り開始日

アトレ会員先行発売日: 11月3日(火・祝)10:00~5日(木)
一般発売日:11月7日(土)10:00~
  • 感染予防に対応した適切な距離を保つため、1階1列~3列の座席は販売いたしません。
  • 通常の座席配置(1階1列~3列を除く)での販売を予定しております。
  • 政府及び東京都の判断により、イベント収容率の制限に変更が生じた場合は、途中でチケットの販売を停止する場合がございます。



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スタッフ・キャスト

スタッフ

台本
ハリー・ロス
(H.G.ウェルズの同名小説による)
作曲
藤倉 大
指揮
大野和士
演出
リディア・シュタイアー
美術
バルバラ・エーネス
衣裳
ウルズラ・クドルナ
照明
オラフ・フレーゼ
映像
クリストファー・コンデク
ドラマトゥルク
マウリス・レンハルト
  • (作曲)

    藤倉 大

  • 00_Harry Ross_90110.jpg

    (台本)

    ハリー・ロス

  • (指揮)

    大野和士

  • (演出)

    リディア・
    シュタイアー

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キャスト

クーパー・ヒードン
ピーター・タンジッツ
フォートナム・ロスコー/ジョンソン・イーヴシャム
セス・カリコ
ベラ・ロッジア
ジェシカ・アゾーディ
インスペクター
加納悦子
歌手/冷笑者
望月哲也

合唱
新国立劇場合唱団 
管弦楽
東京フィルハーモニー交響楽団
  • (クーパー・ヒードン)

    ピーター・
    タンジッツ

  • (フォートナム・ロスコー
    /ジョンソン・イーヴシャム)

    セス・カリコ

  • (ベラ・ロッジア)

    ジェシカ・
    アゾーディ

  • (インスペクター)

    加納悦子

  • (歌手/
    冷笑者)

    望月哲也

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プロフィール

【作曲】藤倉大(FUJIKURA Dai)
1977年大阪に生まれ15歳で渡英。数々の作曲賞を受賞。国際的な共同委嘱も多数。オペラ作品の国際的評価も高く、2015年にシャンゼリゼ劇場、ローザンヌ歌劇場、リール歌劇場の共同委嘱による自身初のオペラ『ソラリス』をシャンゼリゼ劇場にて世界初演、18年にはアウグスブルク劇場で新演出上演された。また18年2作目のオペラ『黄金虫』を世界初演。14年に名古屋フィルハーモニー交響楽団の、17年にイル・ド・フランス国立管弦楽団のコンポーザー・イン・レジデンスに就任。17年に革新的な作曲家に贈られるヴェネツィア・ビエンナーレ音楽部門銀獅子賞を受賞。また同年から東京芸術劇場で開催している世界中の"新しい音"が集まる音楽祭「ボンクリ・フェス」の芸術監督を務めている。録音はソニーミュージックや主宰するMinabel Recordsから作品集が、楽譜はリコルディ・ミュンヘンから出版されている。
【台本】ハリー・ロス(Harry ROSS)
トリニティ・カレッジ・オブ・ミュージックで声楽と作曲を学ぶ。在学中に、長年共同で創作を行うことになる藤倉大と出会い、以来、藤倉大の声楽作品の多くの詞を書く。作詞のほか、体験型あるいはサイトスペシフィック(アートにおいてある場の特性を活かした形態)なライブ作品のプロデューサー、クリエイティブ・ディレクターを務める。英国ロイヤルオペラ(リンバリー・スタジオ)における細川俊夫『リアの物語』英国初演を演出した後、スポレート音楽祭の芸術監督補(アソシエート・アーティスティック・ディレクター)として活動しながら、グローブ座で作家デレク・ウォルコットが演出したオペラ『テーベの埋葬』(シェイマス・ヒーニー作)のプロデューサーを務め、舞台デザイナーのヘレン・スカーレット・オニールとの創作活動を始める。オニールとの共同創作では、ロンドンの映像会社Secret Cinema、ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラ、英国国立公文書館、英国及びウェールズ・ナショナル・トラストへ作品を発表。英国のEU離脱を決めた国民投票後は、オランダへ移住。オランダデザイン・デジタル文化研究所の委員として、またフォンティス芸術学校で芸術研究を行っている。詩集「Waves Upoon Waves」はKnives Forks and Spoons pressから出版されている。
【指揮】大野和士(ONO Kazushi)
東京生まれ。東京藝術大学卒。バイエルン州立歌劇場にてサヴァリッシュ、パタネー両氏に師事。1987 年イタリアのトスカニーニ国際指揮者コンクール優勝。以後、世界各地でオペラ公演及びシンフォニーコンサートで聴衆を魅了し続けている。90~96 年ザグレブ・フィル音楽監督。96~2002年バーデン州立歌劇場音楽総監督。92~99 年、東京フィル常任指揮者を経て、現在同楽団桂冠指揮者。02~08 年モネ劇場音楽監督。12~15年アルトゥーロ・トスカニーニ・フィル首席客演指揮者、08~17 年リヨン歌劇場首席指揮者を歴任。15年から東京都交響楽団、バルセロナ交響楽団音楽監督。オペラではミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、パリ・オペラ座、バイエルン州立歌劇場、グラインドボーン音楽祭、エクサンプロヴァンス音楽祭などへ出演。渡邉暁雄音楽基金音楽賞、芸術選奨文部大臣新人賞、出光音楽賞、齋藤秀雄メモリアル基金賞、エクソンモービル音楽賞、サントリー音楽賞、日本芸術院賞ならびに恩賜賞、朝日賞など受賞多数。紫綬褒章受章。文化功労者。17年、リヨン歌劇場はインターナショナル・オペラ・アワードで最優秀オペラハウスを獲得。同年フランス政府より芸術文化勲章オフィシエを受勲。同時にリヨン市特別メダルが授与された。18年9月より新国立劇場オペラ芸術監督。新国立劇場では、98年『魔笛』、10-11年『トリスタンとイゾルデ』、19年『紫苑物語』『トゥーランドット』を指揮。2021年7月には『カルメン』も指揮する予定。
【演出】リディア・シュタイアー(Lydia STEIER)
アメリカのハートフォード出身。オーバリン音楽院で声楽を学んだ後、フルブライト奨学生として渡独。ベルリンのHAU劇場で演出した『The Lesson』、シカゴ、クリーヴランド、ニューヨーク、メキシコで上演した『Eight Songs for a Mad King』(P.M.デイヴィス作曲)によるマルチメディア作品で注目を集め、ピッツバーグ・オペラ『皇帝ティトの慈悲』『Brundibar』、ロサンゼルス・オペラ『ローエングリン』、ブレーメン歌劇場『蝶々夫人』、ワイマール・ドイツ国民劇場『メリー・ウィドウ』を演出。香港、ダブリン、ニューヨークのフェスティバルへも招待される。『トゥーランドット』(ブゾーニ作曲)と『道化師』により、ラジオ局ドイチュラントラジオ・クルトゥーアにより"今年のディスカバリー"とされ、ポツダムの『イェフタ』がウィーン芸術週間に招待される。「光」から『木曜日』(シュトックハウゼン)は、15/16シーズンOpernwelt誌年間最優秀演出賞に選出。オルデンブルク歌劇場『サウル』、マインツ歌劇場『ペレラ 煙の男』がファウスト賞ノミネート。最近の重要な作品には、ベルリン・コーミッシェ・オーパー『ジュリオ・チェーザレ』、ケルン歌劇場『トゥーランドット』、ザクセン州立歌劇場『トロイ人』、ザルツブルク音楽祭『魔笛』、フランクフルト歌劇場『オイディプス王/イオランタ』、バーゼル歌劇場での『Diodati.Unendlich』(ミヒャエル・ヴェルトミュラー作曲)世界初演、ライン・ドイツ・オペラ『スペードの女王』がある。新国立劇場初登場。

プロフィール

【クーパー・ヒードン】ピーター・タンジッツ(Peter TANTSITS)
アメリカ出身。ベートーヴェン、ブリテン、ストラヴィンスキー、シェーンベルク、ベルク、ヤナーチェク、リヒャルト・シュトラウス、さらにルイジ・ノーノ、リゲティ、シュトックハウゼン、デュサパン、B.A.ツインマーマンなどをレパートリーにオペラ、コンサートで、バイエルン州立歌劇場、ケルン歌劇場、ミラノ・スカラ座、グラインドボーン音楽祭、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ベルリン・フィル、ゲヴァントハウス管弦楽団などで活躍。特に現代曲に重点を置き、最近ではザンクトガレン歌劇場『烙印を押された人々』(シュレーカー作曲)、ケルン歌劇場『軍人たち』などに出演。19年にはフランダース・オペラで『LES BIENVEILLANTES』(パーラ作曲)世界初演に出演し大成功を収めたほか、香港アートフェスティバルで『Madam White Snake』に出演した。20年2月には、『地下の国のアリス』(バリー作曲)で英国ロイヤルオペラにデビューした。新国立劇場初登場。
【フォートナム・ロスコー/ジョンソン・イーヴシャム】セス・カリコ(Seth CARICO)
力強い声とダイナミックなプレゼンス、オペラへの独特の感性で評価されるアメリカの若手バスバリトン。2010年から19年までベルリン・ドイツ・オペラ専属歌手として、『フィガロの結婚』フィガロ、『ユグノー教徒』サン・ブリ伯爵、『ヴェニスに死す』旅人、『神々の黄昏』グンター、『ビリー・バッド』レッドバーン、『ムツェンスク郡のマクベス夫人』警官、『パルジファル』クリングゾル、『愛の妙薬』ドゥルカマーラ、『西部の娘』ソノーラ、『サムソンとデリラ』アビメレクなどに出演、15年『オレステイア』カッサンドラでドイツの「ファウスト賞」最優秀男声歌手にノミネート。18/19シーズンは同劇場で『ヴォツェック』医者、『マクロプロス事件』コレナティー、『ドン・ジョヴァンニ』レポレッロ、『ドン・キショット』サンチョ・パンサに出演したほか、バーゼル歌劇場『Diodati. Unendolich』(ヴェルトミュラー作曲)世界初演、エッセン・アールト劇場『ドン・ジョヴァンニ』レポレッロにも出演。19/20シーズンはハノーファー歌劇場『トスカ』スカルピアに出演。20/21シーズンはクラーゲンフルト歌劇場『エレクトラ』オレスト、ハンブルク歌劇場『ドン・ジョヴァンニ』レポレッロ、ベルリン・ドイツ・オペラ『フィデリオ』ドン・ピツァロなどに出演予定。新国立劇場初登場。
【ベラ・ロッジア】ジェシカ・アゾーディ(Jessica ASZODI)
オーストラリア出身。ジャンルやレーベルを超え、埋もれた作品の復活から新作初演、スタンダードなオペラから多ジャンルのコラボレーションまで幅広く活動。メルボルン響、シドニー響、アデレード響、シドニー・ピンチガッド・オペラ、チロル響、ヴィクトリア・オペラ、シドニー・チェンバー・オペラ、シカゴ響などに、シュトックハウゼンの「光」から『木曜日』のイヴ、サティ『ソクラテス』タイトルロール、モーツァルト『羊飼いの王様』アミンタ、『ドン・ジョヴァンニ』ドンナ・エルヴィーラ、『ジュリオ・チェーザレ』セスト、ウォルトンの『熊』ポポーヴァ、カーター『What Next?』ローズ、『ナクソス島のアリアドネ』エコーなどで出演。ボンのベートーヴェン音楽祭、ビビッド・シドニー、ベンディゴ国際音楽祭、メルボルン・フェスティバル、アデレード・フェスティバル、オールドバラ音楽祭、タングルウッド音楽祭などにも出演。オーストラリアのリゾナント・ボディ・フェスティバルの共同ディレクター、ベンディゴ国際音楽祭アーティスティック・アソシエイト。2017年にはシカゴのハイ・コンセプト・ラボのアーティスト・イン・レジデンスに参加。最近ではシドニー・オペラハウスでリザ・リンがアゾーティのために作曲した『Atlas of the Sky』、ウィーン・フォルクスオーパーのミュージカル『Brigadoon』などに出演。新国立劇場初登場。
【インスペクター】加納悦子(KANOH Etsuko)
東京藝術大学、同大学大学院を修了後、ケルン音楽大学で声楽を学ぶ。ケルン歌劇場専属歌手として『フィガロの結婚』ケルビーノ、『蝶々夫人』スズキなど40以上の演目に出演。国内ではNHK 交響楽団などとの共演や、二期会、びわ湖ホールオペラなどで活躍。最近では2013年9月びわ湖ホール・神奈川県民ホール共催『ワルキューレ』フリッカを演じた。新国立劇場では『ホフマン物語』ニクラウス/ミューズ、『魔笛』侍女Ⅱ、『ばらの騎士』アンニーナ、『ルサルカ』料理人の少年、『ピーター・グライムズ』セドリー夫人、『サロメ』ヘロディアスの小姓、『セビリアの理髪師』ベルタ、『神々の黄昏』ヴェルグンデなどに出演している。13年10月文化庁芸術祭オープニング公演でエルガー『海の絵』を独唱して、高い評価を得ている。ソロCD「メアリ・スチュアート女王の詩」(ALM RECORDS)は13年度レコードアカデミー賞声楽部門受賞。令和元年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。二期会会員。
【歌手/冷笑者】望月哲也(MOCHIZUKI Tetsuya)
東京藝術大学卒業、同大学院修了。在学中に安宅賞、松田トシ賞受賞。平成19年度文化庁新進芸術家海外留学制度研修員。ウィーン国立音楽大学研究課程リート・オラトリオ科にて研鑽を積む。第35回日伊声楽コンコルソ第3位。第11回奏楽堂日本歌曲コンクール第2位。第70回日本音楽コンクール第2位。これまでに『椿姫』アルフレード、『ドン・ジョヴァンニ』ドン・オッターヴィオ、『ラ・ボエーム』ロドルフォなどに出演。新国立劇場では『フィガロの結婚』バジリオ、『アラベッラ』エレメル伯爵、『トリスタンとイゾルデ』牧童、『サロメ』ナラボート、『さまよえるオランダ人』舵手、『ピーター・グライムズ』ホレース・アダムス、『タンホイザー』ヴァルター、『魔笛』タミーノ、『夜叉ヶ池』晃、『ヴォツェック』アンドレス、『夕鶴』与ひょう、『マノン・レスコー』エドモンド、『ローエングリン』ブラバンドの貴族Ⅰなどに出演した。二期会会員。

作曲家からのメッセージ


『アルマゲドンの夢』は夢の物語であり、現実とは思えない世界を描いていますが、今日の社会にも強く結びついています。鏡のように、いまを映し出しているのです。

大野和士さんからの突然のメールで、僕の三作目のオペラ、それも合唱と管弦楽を伴うオペラの作曲を依頼された際、大野さんは現代に関連した物語を要望しました。

そこで僕は、H.G. ウェルズのこの短編がぴったりだと思ったのです。『アルマゲドンの夢』は2度の世界大戦よりも前に書かれた物語ではありますが、見知らぬ他人同士が電車内で交わす会話を通じて、戦時下における全体主義的な世界が描かれています。

僕はこの小説にすぐ夢中になりました。台本作家と僕は、通勤電車の場面で幕を開けるオペラを作りたいと、20年以上も思っていたのです! それから結局作らないままになっていたのですが、それは20歳の僕たちにはそのような作品委嘱の機会に恵まれなかったというだけでなく、電車の場面からどう物語を展開させていくか、うまく決められなかったからでもあります。

ですがいま、オファーをいただいて、僕たちの物語は、電車の会話から近未来を予言する奇妙な夢の物語へと発展していったのです。

今回のプロジェクトで一緒に取り組むのは、台本作家のハリー・ロスと演出家のリディア・シュタイアーです。ハリーとは20年以上、多くの作品を作ってきた間柄です。リディアとはここ数年、共同で創作できるプロジェクトはないか探っていました。彼女がもつヴィジョンであれば、僕の音楽を躍動させることができると感じていたからです。

この作品では、通勤電車内のコーラスが、血なまぐさい軍隊のコーラスへと変化します。そのコーラスは、僕たち全員の未来を予感させるものでもあります...

このオペラではどの場面でも、夢のような情景が浮かんでは消えていきます。何が事実で、何が想像なのか、判然としなくなるのです。

未来的な動く廊下のシーンや, ダンスホールでの、H.G.ウェルズによれば「言葉で説明できないような」未来のダンス音楽も、あります。

この未来の夢の世界には個性あふれる人物たちが登場し、彼らの感情や政治論が、叙情的なストーリーのなかで歌い上げられます。

この作品はオペラであるべきでした。

この作品は、夢であるべきでした。その夢から、目覚めることができればと願っています。

藤倉 大


台本作家からのメッセージ


アルマゲドンが迫っています。

イギリスで学生生活を送っていた頃、私はH.G.ウェルズを読んで育ちました。彼は典型的なイギリス人作家であり、先見の明を備えていましたが、その時代の産物と言える作家です。彼が『アルマゲドンの夢』を発表した1901年、当時の大英帝国とその英国例外主義[1]は絶頂を極めていました。普通選挙が実現したのも、それから30年近く先のことです。

社会は前進するだけではなく、後退することもありえます。今のイギリスが抱く権威主義的ポピュリズムは、帝国時代の暴力的な例外主義という過ちを繰り返そうとしています。どうしてこうなったのでしょうか? 私たち全員に責任があるのです。

今回の『アルマゲドンの夢』には "リベラルなエリート" に対する私自身の考えを込めています。私たち"リベラルなエリート" は、行動を起こさず、現実を逃避して生活している点で、迫りくるアルマゲドンに直接的な責任があるのではないでしょうか。その意味で私たちは、脆い泡の中で生きているようです。

ベラとクーパー自身は恵まれた人間で、主体的に考え行動しています。二人は政治家かもしれないし、そうではないかもしれません。重要なのは、私たちがそこに、自分たちの要素を見いだせるかもしれないということです。大と私のバージョンでは、ベラはエリートの政治家の娘です。H.G.ウェルズの原作では、クーパーは政治家で、愛のために何もかも捨てた人間です。彼らの生活は他の大多数の人々と調和が取れていないため、そのままでいることはできないのです。2人の振る舞いがどれだけ善意に基づいていても、また2人がどれほど愛し合っていても。

ベラは、私が2000年代初頭に知り合いだった実在の人物に基づいて翻案しています。その人物は、スコッター活動[2]をしていたアナーキストでした。彼女もまた、裕福で影響力のある実業家の娘でした。現在はもう活動家ではありませんが・・・

大衆が扇動的な政治家に刺激されて熱狂するとき、それは悪夢に似ています。現実は捻じ曲げられ、カオスが道理に取って代わるのです。私は3年間、予備役の軍人をしていました。人は簡単に唆されて、ぞっとするような振る舞いをしてしまうのです。私の父は職業軍人で、バルカン半島やアイルランドでの恐ろしい出来事を目撃してきました。どちらも、私が大人になってから起こったことですが、どうも私たちの記憶からすり抜けてしまっているようです。そして再び、こういったことが起ころうとしています。私がこれを書いている今も、イギリス政府は「聖金曜日合意[3]」と「EU脱退協定」を破棄し、権威主義的なナショナリストの計略を推し進めようとしています[4]。

大と私は、いくつかの異なる主義・思想を政治的に比較しつつ、その時々の現実や時代を超えて共通するものを見出そうとしました。扇動的な挽歌はまさに今日の言語にも、未だに根を下ろしているのです。私たちは、文脈を剥ぎ取られて簡略化された言葉の世界に生きています。「Take Back Control [5], In This Together[6], For the Many not the Few[7]」―現在のイギリスがナショナリストの例外主義へ傾倒しているのは、現代の政治における、こうした挨拶文のような短い言葉のせいでもあります。私たち全員に責任があるのです。

私がこの作品を書いていた頃は、グレンフェル・タワー[8]の火災の余波が残っていました。あの住宅用高層ビルの火災は、ケンジントン&チェルシー王立区の強欲さと怠慢が招いた結果であり、彼らは今、72名もの人を死に至らしめたことで調査を受けています。私にとってこの事件は、遠い世界の出来事ではなかったのです。私はその場にいました。そして避けられたはずの大惨事の後遺症で、同僚や友人を亡くしています。あの事故は、関わった人間の意識に、今も傷を与え続けているのです。当時、私は王立区の芸術事業に雇われていました。平等と主体性を求める住民の叫びを聞いていると、デス・スターのコミュニティ・アート部門にいるような気分になります。要するに、個々の行動がどれだけ良いものであったとしても、私たちは自分自身からズームアウトして、自分がその一部となっている全体をしっかりと考えなければいけないのです。

まるで戦地のようでした。外界を閉ざした泡と無関心が招いた戦争。

私はクーパーやベラのように、この戦争から逃げていたのでしょうか?

私はこのリブレットを、ロッテルダムのハウスボートで書きました。受け入れることのできなくなった国を飛び出して、そこで自らに課した亡命生活を送っています。今の私の時間は、スコットランドのハイランド地方、オランダ、ロンドンに割かれていて、私の責任も分かれていますが、どこに行っても終末が後をついてくるのではないかと恐れています。ですがこれも特権的だと言えるでしょう。終末がより近くに迫っていた詩人もいたからです。北海で水死した、「ラティノス」として知られるアブデル・ワハブ・ユーシフのご冥福をお祈りいたします。重大な危機にあるEUの移民キャンプと、イギリスにおける敵対的な環境の板挟みになった犠牲者だと言えます。

私にとって、『アルマゲドンの夢』は起こり得る未来、ポピュリズムや弱腰の政治家、無気力で泡の中に住む都会人によって拍車がかかった未来なのです。クーパーは夢の中で、こうした未来について考える時間を得ます。70年後、私たちがみな死んだとき、こうした状況は再び起こるでしょう、そして再び同じような夢を見るでしょう。

ハリー・ロス(フェイエノールト、ロッテルダムにて)
(改訂:スコットランド、マレーシャー、ロッシーマウス 2020年10月)


[訳注]

[1]歴史的に見るとイギリスだけが特別であり、他の国とは異なっているとする考え方。近年では、EU離脱賛成派と結び付けられることがある。

[2] アナーキストらによる、建物の占拠活動。

[3] ベルファスト合意のこと。北アイルランドをめぐり、イギリスとアイルランドの間で1998年に締結された。

[4] この「EU離脱協定の破棄」というのは、アイルランドと北アイルランドをめぐる国境管理のこと。イギリスがEUを離脱した後でも、EUにとどまるアイルランドと北アイルランドの間では、事実上国境管理を行わない(北アイルランドのみがEUの関税同盟のなかにとどまる)、という合意がなされていた。しかし、イギリスのボリス・ジョンソン政権はこの合意を一方的に反故にしようとしている。これにより、EUから国際法違反であるという批判を浴びている他、北アイルランドにおける紛争が再燃するのではないかと懸念されている。

[5] EU離脱派のスローガン。「支配権を取り戻せ」

[6] イギリスで言えば、デイヴィッド・キャメロン元首相が使用していたフレーズ。「全員一緒に」。Take Back Control とIn This Together は『アルマゲドンの夢』の歌詞に登場する。

[7] 2017年の総選挙時に、イギリス労働党が掲げたスローガン。意味は「少数のためではなく、多数のために」。

[8] グレンフェル・タワーは1974年に建てられた高層の公営住宅。ロンドンのチェルシー地区は高級住宅地として知られているが、グレンフェル・タワーは労働者階級向けの住宅だった。2017年の火事ではロスさんのメッセージにあるように多くの死者を出し、その半数近くの身元が現在も確認されていない。このビルは、火事の以前から安全性への懸念があり、改善するように何度も働きかけがあったものの、当局に無視されてきた。

[9] アブデル・ワハブ・ユーシフ、通称「ラティノス」は南スーダンの詩人。2020年8月、移民を乗せてリビアを出発したボートの転覆事故により亡くなった。この事故では、確認されているだけで45人もの人々が亡くなっている。

演出家からのメッセージ


巨大な不正に直面した時、私たちはいかに行動すべきなのでしょう? 政治が激しく揺れ動いているときに、中立を保つのは可能でしょうか? 公共の場で交わされる言論が、全体主義的な空気へ流れているときに、自分ひとりの殻に閉じこもり、何もしないでいるべきなのでしょうか? こうした疑問は、フェイク・ニュースが溢れ、政治的な結びつきが希薄になり、混沌に巻き込まれるのが必然に思える現在の社会では、容易に思い浮かぶでしょう。

またこのような疑問は、1901年に出版されたH.G.ウェルズの短編を元にした私たちのオペラ『アルマゲドンの夢』のまさしく中核をなしているのです。『アルマゲドンの夢』が私たちの時代に重なる側面を考えると、不安になり、驚くほど考えさせられます。

この小説は夢に蝕まれる男の経験を辿っています。彼はいわば、ことわざで言うところの「茹でガエル」です。軍事的な独裁政権が絶対的な権力を握ろうとしている、ディストピア的な夢の世界。その夢の世界での語り手は、かつて権力を握っていた政治家であり、危機が迫っているのに何もしないという道を選ぶ。その結果、その語り手の分身は、愛するものをすべて失い、自らの命すらもなくしてしまうのです。

私たちが政治の領域で何もしないと、権力に加担することになってしまう。その様相を社会全体で検証するよう、『アルマゲドンの夢』は要求していますが、藤倉大の全く新しい解釈によって、そのテーマが鮮明になりました。リブレット作者のハリー・ロスは、社会的に機能しなくなっている私たちの時代の言葉を劇中で引用して、『アルマゲドンの夢』は私たちの現実とかけ離れていないのだということを明確にしています。

今回のプロダクションは、バーゼル歌劇場で上演されたシュトックハウゼンの「光」から『木曜日』のチームが制作します。このプロダクションは、オペラ専門誌Opernweltが選ぶ2016年の「プロダクション・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。斬新な映像技術と大胆な舞台美術を用いつつ、現実が揺れ動く空間を生み出し、私たち自身と、私たちの内側に潜む暗い側面が、絶え間ない劇的緊張のうちに映し出されるでしょう。


リディア・シュタイアー


ものがたり

大都市へ向かう通勤電車の中。若い税理士フォートナムは見知らぬ男クーパーに、その本は夢についての本かと問われる。訝しむフォートナム。クーパーは、夢と現実が入り混じることはないか、自分は夢の中で殺された、別の時間に生きていたのだと畳みかける。
クーパーは美しく聡明な妻ベラと新婚生活を送っていた。ダンスホールへ現れたインスペクターの扇動で、若者たちは戦争への恐怖を煽られ、ジョンソン率いる一派にあっけなく取り込まれてしまう。敢然と立ち向かおうとするベラ。なだめるクーパーを、ベラは自由を求め戦おうと必死で説得する。やがて巨大な飛行機や戦艦が近づき、興奮が渦巻く中、爆撃が始まる。ベラが撃たれ、クーパーの腕の中で息絶える。

作曲家・演出家からのメッセージ

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  • Z席とZ【音のみ】席(舞台が完全に見えません)は、公演当日朝10:00から、新国立劇場Webボックスオフィスおよびセブン-イレブンの端末操作により全席先着販売いたします。1人1枚です。
上記の方法での先着販売後、残席がある場合は、開演2時間前からボックスオフィス窓口でも販売いたします。
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