芸術監督からのメッセージ
-
-
劇場は非日常を楽しむ場所。舞台上で繰り広げられる物語や表現によって、お客様にこれまでめぐり合ったことのない何かを感じ取っていただけるような存在でありたいと考えています。そこで、ダンサーたちがこれまでとは違った自分を見つけ、個性を解き放てるようになることを2025/2026シーズンでの目標といたしました。それぞれが“自分のカラー”を発見し、それを舞台で表現することでこそ、お客様の劇場でのひとときを彩ることができるのではと思っております。
新シーズンは3つの新制作をご用意いたしました。最初はホリデーシーズンのお馴染みとなりました『くるみ割り人形』です。今回は2022年に『マクベス』を振り付けていただいたウィル・タケットさんと再びご一緒します。新たな冬の定番として皆様に愛していただける、心躍るスイートな『くるみ割り人形』をお届けします。
次はトリプル・ビル「バレエ・コフレ」で上演するハンス・ファン・マーネンの『ファイヴ・タンゴ』です。この作品は、芸術監督の任期1年目に予定していたのですがかなわず、このたびようやく上演できる運びとなりました。A.ピアソラのタンゴとバレエを融合させた大人のバレエです。ドウソンの『A Million Kisses to my Skin』、バランシンの『テーマとヴァリエーション』と併せて上演しますが、これらの作品をダンサーたちがどのように表現するか見どころです。
最後は2026年7月に中劇場にてダブル・ビルで世界初演される、宝満直也さんの新作です。宝満さんは元新国立劇場バレエ団ダンサーで、在団中に「NBJ Choreographic Group」で数々の作品を発表され、振付家として羽ばたかれた存在。このたび作品の制作をお願いできることに、この上ない喜びを感じています。10年ぶりとなるジェシカ・ラング『暗やみから解き放たれて』との同時上演で、新国立劇場バレエ団オリジナル作品でのダブル・ビルをお贈りします。
さらにレパートリーとしましては、シーズン開幕を飾る『シンデレラ』、前回公演がコロナ禍のため上演期間半ばで公演中止となった『マノン』、バレエ団の美しさを堪能いただける『ライモンダ』そして『白鳥の湖』と、ダンサーたちが自分の個性を発揮するのにふさわしい演目が並びました。
ダンス公演ではフランスを拠点に活躍されている伊藤郁女さんの『ロボット、私の永遠の愛』、巨匠ウィリアム・フォーサイスが新進気鋭のアーティストとともに制作された『フレンズ・オブ・フォーサイス』と日本初演の作品を招聘いたします。
いずれの演目も魅力あふれる彩り豊かなラインアップとなっております。是非劇場に足をお運びいただき、ダンサーの個性あふれる踊りをご堪能ください。
2024年は新国立劇場をご支援くださる企業の皆様とともに、文化芸術に触れる機会が少ない子どもたちを対象とした公演ご招待企画「こども観劇プログラム」や、未来のバレエ界を支える小・中学生を応援する特別企画「バレエみらいシート」など、若い世代に芸術鑑賞の楽しさと感動の道を開く取り組みを積極的に行うことができました。新たに始まったホスピタリティプログラム “グランエクスペリエンス”も、収益を障がいのある方や若年層の支援に還元し、サステナブルな取り組みへと発展させていく予定です。
2024年のスタートは能登半島を襲った大きな地震でした。新国立劇場とバレエ団が社会のために貢献できることは何か、改めて考えさせていただく1年となりました。新しいシーズンも皆様にとっての「特別な劇場」となるべく、全力で取り組んでまいります。引き続き温かいご支援とご声援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
舞踊芸術監督 吉田都
舞踊芸術監督 吉田都

劇場は非日常を楽しむ場所。舞台上で繰り広げられる物語や表現によって、お客様にこれまでめぐり合ったことのない何かを感じ取っていただけるような存在でありたいと考えています。そこで、ダンサーたちがこれまでとは違った自分を見つけ、個性を解き放てるようになることを2025/2026シーズンでの目標といたしました。それぞれが“自分のカラー”を発見し、それを舞台で表現することでこそ、お客様の劇場でのひとときを彩ることができるのではと思っております。
新シーズンは3つの新制作をご用意いたしました。最初はホリデーシーズンのお馴染みとなりました『くるみ割り人形』です。今回は2022年に『マクベス』を振り付けていただいたウィル・タケットさんと再びご一緒します。新たな冬の定番として皆様に愛していただける、心躍るスイートな『くるみ割り人形』をお届けします。
次はトリプル・ビル「バレエ・コフレ」で上演するハンス・ファン・マーネンの『ファイヴ・タンゴ』です。この作品は、芸術監督の任期1年目に予定していたのですがかなわず、このたびようやく上演できる運びとなりました。A.ピアソラのタンゴとバレエを融合させた大人のバレエです。ドウソンの『A Million Kisses to my Skin』、バランシンの『テーマとヴァリエーション』と併せて上演しますが、これらの作品をダンサーたちがどのように表現するか見どころです。
最後は2026年7月に中劇場にてダブル・ビルで世界初演される、宝満直也さんの新作です。宝満さんは元新国立劇場バレエ団ダンサーで、在団中に「NBJ Choreographic Group」で数々の作品を発表され、振付家として羽ばたかれた存在。このたび作品の制作をお願いできることに、この上ない喜びを感じています。10年ぶりとなるジェシカ・ラング『暗やみから解き放たれて』との同時上演で、新国立劇場バレエ団オリジナル作品でのダブル・ビルをお贈りします。
さらにレパートリーとしましては、シーズン開幕を飾る『シンデレラ』、前回公演がコロナ禍のため上演期間半ばで公演中止となった『マノン』、バレエ団の美しさを堪能いただける『ライモンダ』そして『白鳥の湖』と、ダンサーたちが自分の個性を発揮するのにふさわしい演目が並びました。
ダンス公演ではフランスを拠点に活躍されている伊藤郁女さんの『ロボット、私の永遠の愛』、巨匠ウィリアム・フォーサイスが新進気鋭のアーティストとともに制作された『フレンズ・オブ・フォーサイス』と日本初演の作品を招聘いたします。
いずれの演目も魅力あふれる彩り豊かなラインアップとなっております。是非劇場に足をお運びいただき、ダンサーの個性あふれる踊りをご堪能ください。
2024年は新国立劇場をご支援くださる企業の皆様とともに、文化芸術に触れる機会が少ない子どもたちを対象とした公演ご招待企画「こども観劇プログラム」や、未来のバレエ界を支える小・中学生を応援する特別企画「バレエみらいシート」など、若い世代に芸術鑑賞の楽しさと感動の道を開く取り組みを積極的に行うことができました。新たに始まったホスピタリティプログラム “グランエクスペリエンス”も、収益を障がいのある方や若年層の支援に還元し、サステナブルな取り組みへと発展させていく予定です。
2024年のスタートは能登半島を襲った大きな地震でした。新国立劇場とバレエ団が社会のために貢献できることは何か、改めて考えさせていただく1年となりました。新しいシーズンも皆様にとっての「特別な劇場」となるべく、全力で取り組んでまいります。引き続き温かいご支援とご声援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
プロフィール
9歳でバレエを習い始め、1983年ローザンヌ国際バレエコンクールでローザンヌ賞受賞。同年、英国ロイヤルバレエ学校に留学。84年、サドラーズウェルズ・ロイヤルバレエ(現バーミンガム・ロイヤルバレエ)へ芸術監督ピーター・ライトに認められて入団。88年にプリンシパル昇格。95年に英国ロイヤルバレエへプリンシパルとして移籍、2010年に退団するまで英国で計22年にわたり最高位プリンシパルを務める。
日本国内では1997年の新国立劇場開場記念公演『眠れる森の美女』をはじめ、新国立劇場バレエ公演での99年『ドン・キホーテ』『シンデレラ』、2000年『ラ・シルフィード』、04年『ライモンダ』ほか、数多くの公演に主演している。
ローザンヌ国際バレエコンクール審査員を務めるほか、後進の育成にも力を注いでいる。バレリーナとしての功績と共にチャリティ活動を通じた社会貢献が認められ、04年「ユネスコ平和芸術家」に任命、12年には国連UNHCR協会国連難民親善アーティストに任命。
01年芸術選奨文部科学大臣賞、06年英国最優秀女性ダンサー賞、11年第52回毎日芸術賞など受賞多数。07年に紫綬褒章並びに大英帝国勲章(OBE)受賞、17年文化功労者、19年菊池寛賞、24年より日本芸術院会員。
20年9月より新国立劇場舞踊芸術監督。